無認証施設で「陽性」と告げられて――出生前検査をめぐる夫婦の葛藤と決断写真はイメージです Photo:PIXTA

お腹の赤ちゃんの病気の有無を調べる新型出生前検査(NIPT)。今回は、日本医学会に認められていない「無認証クリニック」でNIPTを受け、赤ちゃんに『精巣の機能不全により子どもができにくいことがある“クラインフェルター症候群”』の陽性反応が出た、とある夫婦について紹介する。かかりつけの産院に検査の結果を報告したところ、待ち受けていたのは思わぬ展開だった――。※本稿は、毎日新聞取材班『出生前検査を考えたら読む本』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。

「中絶は別のところで」
高圧的な物言いに唖然

 NIPTでは、クラインフェルター症候群について陽性という結果だったが、まだ確定したわけではない。NIPTには一定の誤りが含まれるためだ。

 そこで、確定的な結果が得られる羊水検査を受けることにした。

 まずは、かかりつけの産院に相談した。実は、歩美さんはこの産院に、別のクリニックでNIPTを受けたことを話していなかったのだ。

 担当の男性医師は、クリニックの名前を聞いて苦々しい表情を浮かべた。

「あー、最近増えてるんですよね、そういうところ。ちゃんと遺伝カウンセリングをしなくて、問題になってるんです。検査をするなら、安心できるところで受けてください」

 この産院では羊水検査を行っていないため、担当医は大学病院への紹介状を書いた。

 1月下旬、歩美さんは都内の大学病院を訪れた。雄太さんは仕事のため付き添えず、1人で産科の診察室に入った。

 対応した年配の男性医師は高圧的だった。

「なんで、NIPTを受けたところで、羊水検査もやらないの?」