「もう疲れすぎて家事なんてイヤ」「料理がめんどくさすぎて死にそう」――そんな悩める人たちにおすすめなのが「はじめて楽しく料理ができた!」「感動した!」「もう献立に迷わない!」と絶賛されている『厨房から台所へ』と志麻さん初の著書『志麻さんのプレミアムな作りおき』だ。特に『厨房から台所へ』は新聞書評で東大教授が絶賛。志麻さんの手にかかると、冷蔵庫にある食材が、ふだん食べられないプロのレシピに大変身。まさに魔法使いだ。これさえ覚えておけば、平日多忙なお父さんお母さんも、尊敬の眼差しを浴びるかもしれない。3時間で15品以上作るという志麻さん。今回は「涙が止まらなかった」と話題の『厨房から台所へ』の中から、簡単なのに満足度の高い一品を志麻さんが紹介する。(構成:寺田庸二、レシピ撮影:三木麻奈、著者撮影:難波雄史)

読者の反響が大きかった記事を、一部編集し再配信します。(記事初出時の公開日:2019年4月28日)

【伝説の家政婦・志麻さんが感動!】なんの変哲もない豚肉がウマすぎレシピに大化け! 簡単なのに家族全員がうなり続ける「超絶の一品」とは?(再配信)

「豚肉のソテーシャルキュティエールソース」とは?

 自然豊かな田舎で育った私は、調理師学校で様々な国の料理を学び、毎日が驚きの連続で、学校へ通うのが楽しくてしかたありませんでした。

 なかでも、フランス料理はどの料理も食べたことのない味で新鮮でしたし、こんな料理をつくって田舎の両親に食べさせてあげたいなぁと思いました。

 そんな料理の一つに、『厨房から台所へ』で紹介した豚肉のソテーシャルキュティエールソースがあります。

【伝説の家政婦・志麻さんが感動!】なんの変哲もない豚肉がウマすぎレシピに大化け! 簡単なのに家族全員がうなり続ける「超絶の一品」とは?(再配信)

「シャルキュティエール」というのはハムやソーセージ、パテなどをつくる豚肉の加工職人のことです。

 フランス料理の名前にはよくこの「○○ソース」とか、「○○風」という名前がついていることが多いのですが、それぞれ学んでいくと、料理一つひとつに地方性や歴史があり、まるで物語を読んでいくような楽しさがあったのも、私がフランス料理にのめりこんでいく理由の一つでした。

 この「豚肉のソテーシャルキュティエールソース」という料理は、さっとソテーした豚肉にピクルスとトマトなどを使ってつくった酸味のあるソースがかかったものですが、食べ慣れた豚肉がこんなにも違う料理に変身するのかと感動したのを今でも覚えています。

 フレンチレストランから、家庭の台所へ仕事の場を変えた私ですが、家庭でもつくれるフランス料理はたくさんあると思っています。

 記念日や会食など、非日常的な食事を楽しむフランス料理もあれば、働くお母さんがさっと家でつくれるフランス料理もあるのです。

 難しいソースの名前や、テクニックなどは家庭では必要ありません。

触感や味が似ているもので
どんどん代用!

 この料理には、コルニッションと呼ばれる小さなキュウリのピクルスを使いますが、手に入らなければ、似たようなもので代用すればいいのです。

 酸味とほのかな甘み、シャキシャキした歯ごたえでどこのスーパーでも買えるもの。
 たとえば、ラッキョウ、キュウリの浅漬けなどでもいいと思います。

 家政婦の仕事では、その場にある材料で料理をつくらなくてはいけないので、何かが足らないという場面によく出くわします。

 そんなときは、つくろうと思った料理をやめるのではなく、触感や味が似ているもので代用できるものがないかを考えます。

 こうして何かで代用して作った料理が意外とおいしくできたり、普段は気づかない発見があったりもします。

 この思い出の豚肉料理も、ぜひたくさんの人に知ってほしい、気軽につくってほしい、と思っています。ぜひ、この週末、本書を片手に家族みんなが笑顔になるレシピを試してみていただけたらと思います。