
中国福建省のシーンはロケ撮影
“人力”ならではの工夫が感じられる
岩男は丁寧語(軍隊語?)で、子どものとき、嵩(ここでは「嵩殿」と呼ぶ)の弁当を食べたことを思い出し、おいしかったけれど、途中でのぶに下駄で殴られて「痛かったのであります」と思い出してひととき笑う。思えばあの頃は平和であった。
のぶ、子役の回想だったけれど今日も出た。忘れてならないのは、『あんぱん』はのぶ(今田美桜)が主人公なのである。
さて。事前の番組からのアナウンスでは、戦争パートではバーチャルプロダクションのシステムを導入し、戦場のリアルを描くと伝えられていた。グリーンバックであとから画を合成するのではなく、撮影時に背景画を映すことで俳優が置かれている状況を把握し演技しやすくなるのだという。
だが、第55回の時点では、まだバーチャルプロダクションのシーンはない。中国福建省のシーンはロケだった。もちろん、中国でのロケではなく、国内のどこかであるが。実際の小高い山や荒野のなかを軍隊が行進する。
前方から発砲され緊張感が走る。
銃を構えたが、味方であった。
「敵なら撃ち殺されてたな」と八木がクールに嵩に言う。
この一連のシーンはロケでよかったと思う。
市場はスタジオにセットが組まれているようだ。中国人(支那人)がたくさんいて活気に満ちている。照明も日本とはどこか日の明るさが違うイメージ。従来のロケとスタジオを使った、人力による撮影で、異国感を出す工夫と矜持が感じられた。
八木は相変わらず単独行動をしていて、旧知らしい粕谷軍曹(田中俊介)とこっそりやりとりをしていた。第55回の終わりは、この軍曹が鋭い目で嵩の描いた似顔絵をもって「これを描いたのはお前か」と突きつけるところで来週につづく。
これが生き延びるための卑怯者になることにつながるのだろうか。できれば、絵を褒められる流れを希望。
