こういう扱いをされたら、ピュアな視聴者は「これは大不祥事!」とイキリ立つことは言うまでもない。

 ネットやSNSでは「苦しい言い逃れ」「ちっとも笑えない」「言葉選びのセンスがない」「こんな人間が首相で恥ずかしい」などボロカスに叩かれ、立憲民主党の小沢一郎衆議院議員がXで「自民党は差別の意識がもともと強い」など投稿したことで、石破首相はあっという間に「差別主義者」というレッテルが貼られたというワケだ。

 さて、こういう一連の流れを聞くと、「やっぱ石破首相はもう終わりだな」と感じる人も多いだろう。しかし、筆者は石破首相どうこうよりも「やっぱマスコミはもう終わりだな」という絶望にも似た気分になってしまう。

 すでにお気づきの方も多いだろうが、石破首相の発言に対して「地域や女性への差別にはあたらないのか」と投げかけたその「正義のコンプラチェック」は、きれいな放物線を描いてマスコミ各社の後頭部に突き刺さる「特大ブーメラン」になっている。

 これに気づかないというのは、報道機関としてかなり末期的だ。ジャーナリズムだ権力の監視だと他人に対しては偉そうに御託を並べているわりには、その厳しい視線が自分自身にはまったく向けられていないということだ。

 例えばマスコミは「群馬は怖い人が多そう」というのは地域差別だと石破首相を断罪している。しかし、公共の電波を使って、盛んにそのイメージを広めて、スポンサー企業から広告収入を得ていたのは他でもないテレビ局なのだ。

 わかりやすいのは「秘密のケンミンSHOW極」(日本テレビ系)である。この番組では群馬を「ギャンブル大国」として紹介し、群馬県民は大のギャンブル好きで、気性も激しいというイメージをよく流している。例えば、公式YouTubeチャンネルの「【不思議な関係】お隣なのに全く違う!?長野と群馬のケンミン性【2021年6月10日 放送】」をご覧になっていただきたい。