挑戦する先に、自分でも予想できないキャリアが広がる
AGRIKO FARMで働く方が、絵がとても上手だったことを知った小林さんは、その絵を“自分が見て終わりにするのではなく、多くの人に見てもらう方法はないか”と考えた。その思いが企業との縁をつなぎ、2023年にはパラアートの事業をスタートさせた。
小林 あるとき、ファームで働いていただいている障がい者の方が、自分は絵を描くことが上手なのだと教えてくれました。そこでお願いして絵を描いてもらったら、ファームをモチーフにした本当に素晴らしい絵を描いてくれました。この可能性を伸ばすにはどうしたらいいのだろう――その方法を模索するなかで、サンマルクホールディングスさんが運営するBAKERY RESTAURANT Cとコラボレーションする機会をいただき、彼らの描いた絵を使ったコースターを配布できることになりました。そこからパラアートの事業も展開することになり、さらに2024年5月には、アートギャラリーを営むArt Technologies株式会社さんと合併。現在はパラアートの取り組みに加え、法人向けアートレンタル事業にも力を入れており、300社を超えるオフィスや飲食店、医療・福祉施設などの空間・環境づくりをサポートしています。
20代の頃、もがいても見つからなかった目指すべき道が、いまは何本にも広がっている。自分の未来を築くためには何が必要なのか――自分のキャリアを振り返り、小林さんが大切に思うこととは?
小林 何をしたらいいのか迷ったとき、人は自分の知っている物事のなかからしか選択することができません。私は「まだ、自分の知らないことがたくさんある。どこかに自分が輝ける場所があるはずだ」と信じ、少しでも興味を持ったものにはどんどん挑戦し続け、農業に出合いました。そして、その農業をきっかけに起業して、アートの事業も展開し、いま、スーツを着て取材をしていただける立場になるなんて、当時は想像できないことでした。だから、何をしていいかわからなければ、まず「なんでもやってみる」ことが大事だと思っています。すると、自分でも知らなかった可能性や才能が見えてきたり、新しい出会いがあったりと、自分の世界が広がっていくと感じています。