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ゲームコンテンツは文化になれないのか?
コンプガチャ騒動から1年を経た業界の現状
――ソーシャルゲーム・バブル崩壊後の展望【前編】

石島照代 [ジャーナリスト]
【第37回】 2013年6月10日
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ソーシャルゲーム業界は、
「儲かっているからひがまれているだけ」なのか

 このように、筆者の中では、コンプガチャ騒動はこの2007年の騒動と地続きになっている。しかし、2011年~12年のソーシャルゲームバブルしか知らない人の中には、昨年の「ソーシャルゲームの何が問題か」は、ただのソーシャルゲーム企業いじめと映った向きもあるようだ。

 たとえば、関連企業の関係者と思われる「儲かっているからひがまれてるだけ」というツイッターでの書き込みや、「記事などで良く見るような『楽して儲けている』というようなことはありません。 日々、血の滲むような努力とPDCA(*)を回すことでギリギリ持ち堪えているのです」というブログ等を拝読すると、論点がずれているとしか思えない。

 ソーシャルゲーム企業は、業績が好調だからひがまれているのではない。そのビジネスを行うことで、子どもからお年寄りまでが生きている、社会の存続に必要な健全性を損なう可能性について、問われているのだ。それは2007年の騒動の時となんら変わっていないことを、ソーシャルゲーム関係者は学ぶべきである。また、第二、第三のコンプガチャ騒動はいくらでも起きる余地があることは、30年程度のゲーム業界受難の歴史からも容易に想像がつく話である。

 ディー・エヌ・エーは、コンプガチャ騒動の直後、消費者庁の正式規制を待たずにコンプガチャ廃止をいち早く表明し世間を驚かせた。この裏には2007年の騒動の学習効果と、プロ野球チームのオーナーに対する社会的圧力があったことは想像に難くない。コンプガチャビジネスの正当性を主張するコストと、そこから得られる結果が必ずしも見合わないことを、南場前社長ならばすぐに理解できたはずだ。しかも、公共放送のニュースで毎日無料で社名が読み上げられるスポーツのチームのオーナーに、それなりの振る舞いが求められるのは当然である。

*PDCA……事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法の一つ。Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の4段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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