民泊は頭打ち、飲食店には日本語で中傷するハガキが
近年、中国国内では「内巻(インボリューション)」という言葉が流行している。限られた資源の中で過当競争が起き、誰も報われない構造を指す社会現象である。これは今、在日中国人の間でも顕著に現れている。
経営・管理ビザで来日した中国人の多くが行っているビジネス業種は、貿易業、不動産仲介、民泊、飲食などである。特に民泊と飲食は参入障壁が低く、短期的に収益を得やすいため、数としては最も多く、競合がひしめいている。商売相手もまた中国人である以上、需要は頭打ちになる。その結果、他店の客を奪うしかないという構図に陥っている。
大阪・心斎橋にあるワンタン店は、夫婦で営む良心的で家庭的な店だ。本場の味と手頃な価格で在日中国人や観光客に人気を博し、SNSやメディアでも注目されていた。だが、繁盛するにつれ、中国人が経営する競合店が大阪市内に続々とオープン。中には、まったく同じメニューを3割安で提供するような店も現れた。
さらに最近、匿名の誹謗中傷ハガキが相次いで届くようになっている。
「中国人の作った料理はまずい」「非常識でうるさい」「日本から出ていけ」……こうしたハガキの文面をよく見ると、日本語が不自然で漢字や文法の間違いが多い。
おそらくハガキの送り主は、同業の中国人だろうと周囲の人々は推測している。夫婦は営業時間を延ばしてフル稼働することで売上維持に努めているが、精神的にも体力的にも限界に近い。「このような嫌がらせが続き、さらに値下げに応じるような事態になれば、もう店は続けられない」と、不安な声を漏らした。
こうした「嫌がらせ+値下げ」による生存競争は今、他の飲食店にも拡大している。彼らの話では、今日本の若者に大人気で、いつも行列ができている「麻辣湯(マーラータン)」にも中国系の資本がどんどん参入し、すでに値下げの動きが始まっているという。