「同じ中国人として恥ずかしい」真面目な在日中国人の本音
「正直、とても恥ずかしい。同じ中国人として、日本の皆さんに申し訳ない気持ちでいっぱいです」
こう語るのは、来日2年未満、大阪で貿易や飲食店を営む40代男性・欧陽さん(仮名)だ。「中国には『郷に入っては郷に従え』ということわざがあります。本来、日本の習慣や秩序を尊重すべきなのに、一部の同胞が日本社会に迷惑をかけている。真面目に暮らしている私たちも肩身が狭い思いをしています」と話す。
日本に移住して数年の女性は「私たちは日本の秩序や治安の良さに惹かれて移住したのに、今、わが同胞が中国の価値観や常識をそのまま日本に持ち込んできて、日本社会に悪い影響を与えている。このままでは日本の“良さ”が壊れてしまいそうで心配です」
約30年前に来日した女性も、「昔と比べて中国人のイメージが著しく悪くなった。今は自分が中国人であることを言うのもためらう」と肩を落とす。
こうした感情は日本在住の中国人に限らない。SNSの発達により、日本で起きた事件は中国国内にも瞬時に伝わる。冒頭の富士山救助事件も中国のSNS「Weibo」や「WeChat」などで大きな話題となり、こんな書き込みであふれた。
「自分さえ良ければという典型的な身勝手な人だね、本当に迷惑だ!」
「日本政府にこの人をブラックリストに入れて強制送還してほしい」
「中国では救急車でも有料なのに、ヘリコプターの費用は途方もなく高いだろう。本人に払わせるべきだ」
中国語には「害群之馬」(集団に害を及ぼす者)という言葉がある。一部の同胞の行為が日本社会だけでなく、多数の真面目な中国人にも悪影響を及ぼしているのだ。
永住権制度の抜け穴を突いて悪用する人たち
在日中国人たちからは「日本の制度は緩すぎて、悪用されやすい」「日本の制度の穴が違法行為を助長している」という声が多かった。その一部を紹介したい。
まず、肝心の永住権制度に「抜け穴」がある。
最近急増している在留資格「経営・管理ビザ」をめぐっては、外国人が日本の医療制度にタダ乗りしているという指摘があるが、実際にはこのビザの保有者は医療保険料や税金を納めないと、次の資格更新ができなくなってしまう。それよりも深刻な問題は、過去に日本の「永住権」を取得したものの、すでに日本にはおらず、長年中国で暮らしている人たちだ。