子どもに「宿題やった？」と聞くと嫌われる。頭のいい親なら、どう聞く？

ビジネススキル「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術

2025年6月19日 6:20

「『なぜ、そう思うの？』は、絶対にNGです」
「なぜなぜ分析」をはじめに「なぜ？」という問いは“論理的に考える”ための「良い質問」だと考えられている。しかし実は「なぜ？」「どうして？」は、致命的な「解釈のズレ」を生み、噛み合わない会話＝「空中戦」を作り出してしまう元凶、「最悪の質問」なのだ。
「事実と解釈の違い。これに気づけていない人は、まだ確実に“曇りガラス”の中にいます」――。話題の新刊『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』では、世界・国内の各地で実践・観察を積み重ねてきた著者による「賢い質問の方法」＝事実質問術を紹介している。本書に掲載された衝撃の新事実の中から、今回は「ありがちなNG質問」について紹介する。（構成／ダイヤモンド社・榛村光哲）

子どもに「宿題やった？」と聞くと嫌われる。頭のいい親なら、どう聞く？

Photo: Adobe Stock

頭の良い人がしない1つの質問

子どもがいる親御さんの悩みは日々尽きないことと思います。

中でも、「子どもが宿題をやらない」という経験をされた方も、中にはいるかもしれませんね。

そんなときに、つい、次のように言ってしまわないでしょうか。

・「宿題はもうやった？」
・「どうして宿題をやらないの？」
・「いつ宿題をするの？」

しかし、これは子どもにプレッシャーを与えてしまう点で、あまり良い質問とは言えません。

今回は、『事実質問』に基づく「うまい言い換え」について、紹介をしていきましょう。

「事実の確認」に絞って会話をする

そもそもですが、上記の3つの質問には、ある共通点があります。それは、「子どもを追い詰める質問」だと言うことです。「宿題をやっていない自分」のことを直接的に責められているわけですから。あまりいい気はしませんよね。

しかしそうは言っても、何も言わないと子どもは宿題をやらずに遊びに行ってしまいます。それはそれで困りますよね。

ここで使いたいのが、「事実質問」です。事実質問とは、事実のみに絞って質問をすることで、自分と相手の頭に共通の基盤を作る方法です。

今回のような場合であれば、次のように言い出す手があります。

・「今日は、宿題は出たの？」

このように聞かれると、子どものことを責めることなく、ただ単に事実を確認することができますね。

子どもとしても、比較的答えやすい質問です。「今日は漢字ドリルの宿題が出たよ」「計算プリントの問題が出たよ」など、答えやすいと思います。

ここから、いくつか質問を継いでいくといいでしょう。たとえば、「前、漢字ドリルをやったときには何分くらいかかった？」のように聞いていくと、子どもが計画を立てる手助けをすることができますね。

「良い質問」で親子関係もよくなる

ここで注目してほしいのが、「子どもの感情の変化」です。

A：いきなり、「宿題は終わったの？」と聞かれたとき
B:最初に、「宿題は出たの？」と聞かれたとき

どちらのほうが子どもにとって答えやすいか、比べてみてください。明らかにBですよね。Aは自分に負い目のあることを答えないといけませんが、Bは答えやすい事実を答えるだけでいいのですから。

親子のコミュニケーションは、一筋縄では行かないこともあるでしょう。

しかし対話は、どちらかが質問し、相手がそれに答えることから始まります。

よい人間関係の基本には、よいコミュニケーションがあり、よいコミュニケーションの出発点には、良い質問があるのです。

（本記事は『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』に関する書き下ろしです）