たとえば、近年「メタボリック」という言葉が大々的に流布されましたが、これも開業医の収入を増やすためのものだともいわれています。国民にメタボリックの危険を植えつけることにより、開業医だけがもらえる「特定疾患療養管理料」というものを増やそうということです。

「特定疾患療養管理料」というのは、高血圧、糖尿病、がん、脳卒中など幅広い病気に関して、療養管理という名目で、治療費を請求できるというものです。

 国公立などの大病院には、この「特定疾患療養管理料」を請求することは認められておらず、開業医にだけ認められているのです。つまり、メタボリックに関する「特定疾患療養管理料」というのは、開業医の収入を増やすためにつくられたようなものなのです。

 この「特定疾患療養管理料」だけではなく、大病院と開業医でまったく同じ治療をしても、開業医だけが治療費を上乗せ請求できるという制度がいくつもあるのです。

 患者は普通、医師の出した請求の通りに治療費を支払います。大病院と開業医との間で、料金の違いがあるなどとは知りません。それをいいことに、ドサクサに紛れて上乗せで料金を請求しているのです。

国立病院のトップよりも上!
年収3000万円を稼ぐ町医者たち

 しかも最近ではほとんどの国公立病院では原則として、

「かかりつけ医の紹介状なしでは受診できない」

「もし紹介状なしで受診する場合は初診料が5000円程度上乗せされる」

 という制度があります。

 国民は病気をすれば、まず近くの開業医に行かなければならないという仕組みになっているのです。

 とにかくとにかく、日本の医療システムというのは、開業医の利権を守るようにつくられているのです。

 その結果、開業医というのは、勤務医よりもはるかに収入が多いのです。

 厚生労働省の「医療経済実態調査」では、開業医や勤務医の年収は、近年、おおむね次のようになっています。

 開業医(民間病院の院長を含む) 約3000万円
 国公立病院の院長 約2000万円
 勤務医 約1500万円

 このように開業医というのは、国公立病院の院長よりもはるかに高く、普通の勤務医の倍もの年収があるのです。

 国公立病院の院長になるということは大変なはずで、相当の能力を持ち、相当の働きをしないとなれるものではないはずです。が、その国公立病院の院長よりも、開業医の家に生まれ、実家を継いだだけの医師のほうが、たくさん報酬をもらっているのです。