武見父子が体現する
医師会と厚労省の癒着

 なぜ、開業医だけが、これほど優遇されているかというと、開業医には「日本医師会」という強力な圧力団体があるからです。

 新型コロナウイルス禍では、日本医師会がたびたびマスコミに登場し、提言などを行っていたので、ご記憶の方も多いのではないでしょうか?

 日本医師会は、日本で最強の圧力団体といわれていますが、この団体は「医師の団体」ではなく「開業医の団体」なのです。日本医師会という名前からすると、日本の医療制度を守る団体のような印象を受けますが、実際は開業医の利権を守る団体なのです。

 昨今、日本医師会は、「開業医の団体」と見られるのを嫌い、勤務医の参加を大々的に呼びかけており、開業医と勤務医が半々くらいになっています。が、勤務医が日本医師会に入るのは、医療過誤などがあったときの保険である「日医医賠責保険」に加入するためであることが多いとされています。少なくとも勤務医の大半は、「日本医師会が自分たちの利益を代表しているわけではない」と考えています。

 日本医師会の役員は今でも大半が開業医であり、「開業医の利益を代表している会」であることは間違いないのです。

 この日本医師会は自民党の有力な支持母体であり、政治献金もたくさんしているので、とても強い権力を持っているのです。というより、日本医師会と自民党は一心同体のような状況なのです。

 たとえば、岸田文雄内閣で厚生労働大臣を務めた武見敬三氏は、日本医師会の名物会長だった武見太郎氏の息子なのです。武見太郎氏というのは、戦後25年もの長きにわたって日本医師会の会長を務め、現在の日本医師会の優遇制度を構築した人物なのです。

 そして武見太郎氏は、自民党との強いパイプを築きました。そのパイプによって自分の息子を厚生労働大臣に就かせるまでになったのです。

 つまりは、日本医師会というのは、自民党べったりであり、自民党の一部とさえいえるのです。その結果、開業医は、様々な特権を獲得し、その特権を維持し続けているのです。