開業医の税優遇制度は収入によって、段階的に定められています。図表7の通りです。

図表:開業医の税金の特例同書より転載
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 この算式をご説明しますね。

 たとえば、社会保険収入が3000万円だった場合は、経費は次のような計算式になります。

 3000万円×70%+50万円=2150万円
 ↓
 自動的に経費になる

 この2150万円が自動的に経費として計上できるのです。

 収入の約72%にもなるのです。

 つまり、実際には経費がいくらかかろうと、この医師は収入の72%を経費に計上できるのです。

 この経費率というのは、ほかの事業者と比べても異常に高いのです。

 医師というのは、技術職であり、物品販売業ではありません。材料を仕入れたりすることはほとんどないので、仕入れ経費などはかからないのです。だから、基本的にあまり経費がかからない事業なのです。

 普通に計算すれば、経費はせいぜい30~40%くらいです。にもかかわらず、約70%もの経費を計上できるのです。税額にして、500万~900万円くらいの割引になっているといえます。

 この制度は世間の批判を受け、縮小はされていますが、廃止されることなく現在も残っています。

所得への優遇税制で
貯えた資産は無税で子孫へ

 しかも開業医は、「相続税も事実上かからない」のです。

 別に脱税しているわけではなく、制度上、税金がかからないようになっているのです。

 開業医というのは、病院やその土地、医療機器など莫大な資産を持っています。収入が多いのだから、資産も多くて当たり前です。駅前の病院などは、大変な資産価値を持つ場合も少なくありません。

 これらの資産は、無税で自分の子供などに引き継がれるのです。

 そのカラクリはこうです。