開業医は、自分の病院や医療施設を、医療法人という名義にします。

 医療法人というのは、医療行為をするための公益的な団体という建前です。学校法人や、財団法人などと同じように、大きな特権を与えられています。

 この医療法人をつくるのは、そう難しいことではありません。

 開業医が、適当に役員名簿などを作成して申請すれば、だいたい認められます。

 個人経営の病院と、医療法人の病院が、医療内容的にどう違うかというと、実際のところは全然変わりません。医療法人の病院は、ただ医療法人の名義を持っているというだけです。が、税金面で全然違ってくるのです。

 医療法人というのは、建前の上では「公のもの」という性質を持っています。しかし、実際には、その医療法人をつくった開業医が実質的に私的に支配しているし、外部の人間が立ち入ることはできないのです。

 つまり、医療法人というのは、事実上、特定の開業医が経営しているのです。

 にもかかわらず、医療法人には相続税がかからないのです。

 医療法人が持っている病院や医療機器というのは、あくまで医療法人の所有という建前です。実質的には開業医の所有物なのですが、名目的には医療法人の持ち物なのです。

 だから、実質上の経営者の開業医が死んで、息子が後を継いだとしても、それは単に医療法人の中の役員が交代しただけという建前になるのです。名義上は、息子は父親の資産は何一つ受け取っていない、ということです。実質的には、息子は父親の財産をすべて譲り受けているにもかかわらず、です。

 という具合に、開業医は相続の面でも非常に恵まれているわけです。

 医師の息子が、5浪、6浪をしても医学部を目指しているという話を時々聞いたことがあるのではないでしょうか?これは、何浪したって、開業医になれば、十二分に元が取れるからなのです。

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収入を増やしたい開業医の利権

 しかも開業医は、税金だけではなく、診療報酬などの面でも優遇されています。開業医の優遇制度というのは、医療全体に張り巡らされているのです。