もちろん、そこは通訳案内士としてアテンド中にきっちり説明はするものの、こんな具合で旅行者による“サムライ像”はどこかボヤっとしていることが少なくないのです。例えば、「やたら怖い」「すぐ誰かを斬りがち」「ギア(鎧や兜)がアバンギャルド」といったものから、「スローイング(手裏剣)が得意」と、明らかに忍者と混同している人も。
さらには米大手オンラインゲーム『フォートナイト』の人気キャラクターの影響により、狐の面を被ることで“サムライ化”を図ろうとする男子も続出。今、京都の有名観光地では狐のお面が飛ぶように売れているのです。
「サムライってまだいるの?」
「会いたい」が定番のリクエスト

なにはともあれ大人気のサムライ。富裕層インバウンド業界では、着物に着替え、模造刀を使いレッスンを受けるアクティビティーが鉄板となっています。
とりわけ、2000年代初頭に大ヒットした某ハリウッド映画に出演し、殺陣の演技指導も担当した日本人俳優によるレッスンは、来日するエンタメ関係者の間で「東京のマスト・トライ」と好評です。
大手映画スタジオの名プロデューサーは、友人家族と合流し、体育館のような大広間でレッスンに挑んだのですが、熱中した子どもたちから「あの人は本当のサムライ?」「どうやったらサムライになれる?」という疑問が出てきて思わず苦笑。
ですが、これは決して大袈裟な話ではなく、地位も教養もある大人でも、サムライは日本のどこかにまだ実在すると信じている人が少なくないのです。
プライベートジェットで模造刀をお持ち帰り!
富裕層の日本旅は規格外
私のクライアントで年に数回来日する会社経営者の母と息子がいるのですが、彼は小学生にして自他ともに認めるサムライオタク。前回は二条城や大阪城、金閣寺や天龍寺など足利氏ゆかりの寺院を訪れるレベルでしたが、先日再び京都にやって来た目的はなんと、自らサムライの役を演じるムービー撮影でした。