センスは生まれつき「ではない」ことを美大で学んだ

沓名美和沓名美和(くつな みわ)。現代美術史家、キュレーター、ディレクター。京都芸術大学客員教授、多摩美術大学客員教授、一般社団法人 Open Art Lab 代表理事、REBIRTH ASIA 代表。多摩美術大学、韓国弘益大学大学院卒業。中国清華大学にて博士号取得。

沓名:大学って、好きなことだけじゃなくて苦手なことにも向き合わされる場なんですよね。Rellaさんは苦手なことも毎日やり続けたから、その回り道が結果的に財産になっているんですね。私は大学で教鞭を取る立場でもありますが、美大の良さは何より「見る力=審美眼」が育つこと。好き嫌い関係なく、いろんな作品を見て記憶に貯めることで、自分だけのスタイルが育っていくんですよ。

Rella:よく「センスは生まれつき」と思われがちですが、実際は違います。私は絵を描き始めたばかりのころ、「赤いリンゴ」は「赤色」しか見えませんでした。でも色彩理論を学ぶことで、「リンゴの赤を表現するには緑を入れなければいけない」といったことがわかってきました。今ではいろんな色が見えるんです。センスや感覚は訓練を経て成長させることができるんだと思いました。

沓名:それは本当にそう。どんな色をどう重ねれば、本物同様に表現できるか。経験を積むことで、見えてくるようになりますよね。

「初音ミク Happy 16th Birthday -Dear Creators-」キービジュアル「初音ミク Happy 16th Birthday -Dear Creators-」キービジュアル Art by Rella