美大で学ぶのは「絵で生きていくという意識」
Rella:美大は、ただ技術を学ぶ場所じゃないんです。先生から厳しいフィードバックをもらって、考え、直して、また描く。クライアントとやりとりするようなプロセスがある。だから卒業後、仕事で度重なる修正を求められても耐えられるし、応用力が身につくんです。
沓名:よく美大と専門学校の違いを聞かれますが、美大は4年間というより長い時間をかけて、クリエイター、アーティストとして生きていくための意識を学ぶ場所かもしれません。体系的に歴史や理論を学んだ経験は、長く仕事を続けるための大切な支柱になると思います。
もちろん、専門学校が悪いというわけではありません。即戦力となる技術を短期間で身につけるには、美大より専門学校のほうが効率的だと思います。
美大の学費は高いが、イラスト専攻は初期投資も制作費も安く済む

――一般的に、私立美大では年間で約100万~200万円の学費がかかるとされています。大学によっては、4年間通えば1000万円近い出費になることもあります。美大はなぜお金がかかるんでしょうか?
沓名:専門的な設備が必要であったり、総合大学などと比べれば学生の人数が多いわけではないので、どうしても学費が高くなる傾向にあります。
ちなみに油画や彫刻の場合、学費もさることながら、アトリエ代がかかるんですよ。学生マンションのなかで制作するわけにはいかないので、専用の場所や倉庫を借りなければいけない。キャンバスや絵の具などの材料費も高額です。
Rella:その点、イラストは油絵や彫刻と違って制作費が少ないんです。パソコンとタブレットがあれば描けるので、初期の設備費は20万~30万円程度からと比較的安く済みますし、1枚の制作においての必要支出も圧倒的に少ないです。