3L・V6ネットゥーノは640cvの高出力を発揮
最高速は324km/hに

 ストラダーレはGT2由来のデザインモチーフを持つ空力デバイスをふんだんに盛り込んだ。フロントグリルは大きく広げられ、ボンネットやフェンダーの上部にはエアの通り道を設定。サイドのインテークはより多くの空気を取り入れられるよう大型化され、巨大なスワン型リアウイングと迫力のアンダーディフューザーが備わる。パーツのほとんどはカーボンファイバー製であり、オプションで織り柄を見せることもできる。

 20インチの鍛造ホイールもまたGT2とよく似ており、三叉(さんさ)の槍を三組組み合わせたスポークデザインだ。タイヤはスタンダードモデルと同様にBSポテンザを標準で履く。オプションでミシュランカップ2Rが用意されている。

 インテリアも精悍だ。ダッシュボード周辺はレーシーに作り変えられ、MC20の面影はほとんどない。レースカーさながらに鮮やかなイエローでエリア区分が示されている。黄色はコーポレートカラーの青と並んで故郷モデナのテーマカラーだ。ステアリング形状も専用で、シフトアップインジケーターが埋め込まれている。

 シートはカーボンシェルを持つサベルト製。まるでガンダムスツールのような形状を持ち、いかにも軽そう。事実、シートだけで20kgのダイエット。普通のスポーツシートも選択可能である。

 自慢の3LネットゥーノV6ツインターボエンジンには、制御と排気システム以外、ほとんど手を加えなかった。最高出力は640cv。アップはわずか10cvにとどまる。無闇にエンジン性能を引き上げる必要がなかったことは、そもそもMC20のポテンシャルが高いことの証明である。MaseratiGT2 Stradaleマセラティは、1914年に設立。1926年には初のレーシングカー、ティーポ26でタルガフローリオに参戦。初戦でクラス優勝を果たす。以来マセラティはレースに積極参戦。勝利を重ねてきた。そんな“熱き名門”が久々に復活した。トップモデル、MC20のレーシングバージョンであるGT2が欧州ジェントルマンレースの最高峰“ファンテックGT2選手権”で見事に2024年チャンピオンの座に輝いたのだ。そのGT2の公道走行バージョンとなるGT2ストラダーレが登場。メカニズムはマシン直系。3L・V6ネットゥーノは640cvの高出力を発揮し、最高速は324km/hに達する。究極のトライデント、その全開走行を体験した。