脂肪が膀胱を圧迫して
排尿トラブルが起こる!?
「排尿トラブルを専門にしているのは泌尿器科です。受診したほうがよいのは、排尿トラブルによって仕事や生活に支障が出ている時です。もちろん、少しでも排尿トラブルが気になった時点で受診していただいても大丈夫です」

前立腺肥大症かどうかは、医師による問診、尿検査、血液検査、腹部超音波検査、尿流測定、国際前立腺症状スコアなどの結果から、尿路感染症、前立腺炎、膀胱や腎臓の病気、前立腺がんなどを除外し、診断される。
尿流検査は、測定器のついた便器に排尿し、単位時間当たりの排尿量と排尿時間を見る検査。排尿後に膀胱の中に残った残尿量は、超音波による残尿量測定器を用いて調べる。
健康な男性なら250~400mLを10~30秒で排尿し、最大尿流量は20~30mL/秒程度になる。しかし、前立腺肥大症になると、1回の排尿量が減少するとともに尿流量は5~15mL/秒程度に低下し、残尿量は増加する。
【国際前立腺症状スコア(I-PSS)のチェック項目】
・この1か月の間に、尿をしたあとにまだ尿が残っている感じがありましたか
・この1か月の間に、尿をしてから2時間以内にもう1度しなくてはならないことがありましたか
・この1か月の間に、尿をしている間に尿が何度も途切れることがありましたか
・この1か月の間に、尿を我慢するのが難しいことがありましたか
・この1か月の間に、尿の勢いが弱いことがありましたか
・この1か月の間に、尿をし始めるためにおなかに力を入れることがありましたか
・この1か月の間に、夜寝てから朝起きるまでに何回尿をするために起きましたか
前立腺肥大症による排尿トラブルの治療は、行動療法と生活習慣の見直しからスタートする。これらはセルフケアとしてもできる方法なので試してみよう。
「肥満だと、脂肪が膀胱を圧迫し排尿トラブルが起こりやすくなります。BMI(※)が25以上の人は、体重を5%減らすだけでも排尿トラブルが改善することが少なくありません。膀胱の神経が過敏になり、尿が十分にたまっていないにもかかわらず膀胱が収縮して、急に我慢できない強い尿意や夜間頻尿があるような状態を『過活動膀胱』と呼びますが、その場合には、前立腺や膀胱を支える筋肉を鍛える骨盤底筋体操や膀胱訓練が有効です」
※BMI=体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)