PHEVの加速は力強く、全域で静粛性抜群
乗り心地も一段とリファインされ高級車として隙がない
試乗会ではPHEVのアルファード/ヴェルファイアとHEVのアルファードを乗り比べた。走りには想像以上に差があった。パワートレーンが異なるだけでなく、プラスアルファの進化が大きいからだ。PHEVは俊敏なアクセルレスポンスと瞬発力のある加速を実現している。HEVの加速フィールもいいが、明らかに扱いやすく、力強い。
車両重量は増えているもののシステム出力が大幅に上回っている効果だろう。0→100km/h加速でいうと、HEVが8.8秒、2.4Lターボが8.3秒のところPHEVは7.1秒で駆け抜ける。ターボより1秒以上も速いと知って驚いた。出足が控えめで上で伸びるターボに対し、PHEVは出足の力強さがそのまま速さにつながっている。
走行モードをいろいろ切り替えると、走りや制御が変わる。バッテリーが十分に残っていればEVモードが選択可能となり、よほどでないとエンジンがかかることはない。約120km/hまでEV走行ができる。
通常走行時に推奨のAUTO EV/HVモードでは、静粛性の高いEV走行を基本に、運転状況に合わせて最適な出力配分となるよう自動制御してくれる。PHEVの醍醐味をより明確に味わえるモードだ。PHEVは静粛性についても入念に対策されている。エンジンがかかっても停止しても気にならない静かさが印象的だった。PHEV化によりEV走行する時間が長いのに加えて、HEV走行時でもバッテリーのパワーを活用することでエンジン回転数を低くすることができたおかげで、車内音のレベルを大幅に改善できたのだという。
さらにはインパネ内に吸音材を追加したり、ドア内の遮音材を拡大したり、ラゲッジ部のカーペットを遮音性の高い素材に変更するなど、適材適所の手当てが施されている。その甲斐あって静粛性は最高レベル。これほど車内の会話明瞭度が高いクルマは心当たりがない。圧倒的に静かな空間だ。
乗り心地もHEVよりかなりよくなっていた。既存モデルも基本的には悪くない。だが大柄で重い車体を安定して走らせるにはそれなりの対策を施す必要があったのだろう。走行シーンによっては、乗り心地に硬さを感じた。そのあたりの快適性は、電制ダンパーを用いた兄弟車のレクサスLMでは改善されていた。究極の乗り心地実現のためには、やはり電子制御化が必要なのだと思っていたが、PHEVは電子制御化せずにLMのフィーリングに近づいている。