マンションは利便性の高い土地に
戸建てはどこに建つ?

 マンションの駅からの平均徒歩分数は都区部平均7.0分で、江東区7.6分、世田谷区9.3分になる(住まいサーフィン調べ)。ちなみに、最も駅に近いのは千代田区で3.7分、最も駅から遠いのは江戸川区で9.5分となる。

 山手線の内側は地下鉄が張り巡らされて駅から遠い場所はほぼない。山手線から外へ放射線状に私鉄等の沿線が伸びるので、当然都区部の外周部は駅の間隔が離れる傾向になる。そうした立地はマンションの様な利便性を求めるニーズには自ずと合わなくなる。

 マンションは利便性の高い立地にしか建たないのに対して、戸建ては駅から20分でも建つ。そもそも立地が違うのだ。駅から半径徒歩1分の面積と徒歩10分の面積の違いは10倍ではなく、100倍だ。立地の稀少性は桁違いに違う。都市に住む人が望むものは利便性であり、時間距離が重要視されると考えた方がいい。

 次に、建物階数が高いところほどマンションは建ちやすいし、その資産性は担保されやすいことは過去のデータを分析すれば必ずそうなる。資産性があるということは、価格が上がりやすいということだ。

 また、低層のマンションは戸建てと競争関係にあり、戸建の多い場所では価格は下がりやすくなる。戸建は土地代が下がらなくても、建物価値は22年でゼロと評価される。22年後にその戸建てを買う際には土地代分しか住宅ローンが出ないことも多い。戸建と競合する低層マンションは価格が下がりやすいのだ。

 持ち家に限ると、江東区の戸建て比率は25%で、世田谷区は60%となる。つまり、江東区の75%、世田谷区の40%が共同住宅ということになる。マンション立地は資産価値が高く、戸建て立地は資産価値が低いと考えると、街並みを見ただけで有望度が判定できることになる。

 都区部のマンションの平均階数は9.7階で、江東区13.5階に対し、世田谷区は6.1階と低く、23区でワーストになる。世田谷区は2017年から建築物の高さ制限をかけている。これにより、高い建物はほぼ建たなくなった。こうして、世田谷区は高層のマンションの建たない戸建て中心の立地になったこれは区民の保有する不動産価値を下げる方向にしか働いていない