「マンション市場総崩れ」のデータを鵜呑みにする人が気付かない、買っていい物件と絶対買ってはいけない物件の違い写真はイメージです Photo:PIXTA

データ上では新築マンションの市況悪化
2025年はどうなるか

 2024年の新築マンション市場データが不動産経済研究所から発表された。販売戸数は2万3003戸で前年比14.4%減、平均価格は7820万円で前年比3.5%減、初月契約率は66.9%で前年比3.4%減、在庫戸数は6814戸で前年比8.4%増となった。戸数が減り、価格が下がり、契約率が下がり、在庫が増えたので、どう見ても市況が悪く見える。

 売主側からすると、販売戸数×平均価格が売上総額になるが、24年は1兆7988億円で前年比17.4%減と大幅減となっている。リーマンショック以降、平均2兆円で推移してきたので、それと比較しても1割減となる。

 ただし、新築マンションは年間300棟程度しかない。都心の好立地で1物件1000戸の供給があると首都圏の供給戸数の4%以上、都区部の約1割となるし、販売総額ベースではその2倍以上の影響がある。その意味で、新築ではもはや平均は意味がないとも言える。このため、報道する側も相場上昇を見出しにつけるために、都区部以外のエリアでの平均価格と平方メートル単価の上昇をあげるものが目立った。

 同社は25年の供給見込みは 2万6000戸と発表したが、過去の検証をするとこの見込みは当たったことがほぼない。見込みの出し方は前年水準(2万6873戸)に戻るというものが多く、根拠がない。私たちはこのように他社の発表は鵜吞みにせず、必ず検証するようにしている。

 デベロッパーとの関係性があるなら、既に仕入れている土地から生まれる供給戸数を集計してもらいたいものだが、そうはなっていないようだ。販売価格と供給戸数は逆相関の関係にあり、それらを掛け合わせた先ほどの売上総額はほぼ2兆円で変わらない。このことと建築費高騰から販売価格が上がることから、2025年の供給戸数は減ることは必至であり、増えることはない。

 新築は平均した数値よりも個別事例を見た方が実態把握できるということであり、供給戸数がさらに減る今後はその傾向は強くなると考えられる。