チームには、関係の中に信頼の有無があるかどうかでチームのレベルに差が生じると言っても過言ではありません。
チームは友達や仲良しで出来上がっている組織ではないので、チームで必要な信頼は、好きだからという感情によるものではありません。責任のある主体的な個人とコミュニケーションによる共有が関係に信頼を生んでいくのです。
関係に無理やり信頼をつくるのではなく、信頼は、主体性のある個人と共有レベルの高い全体性により育まれて形成されていくのです。
チームづくりは
リーダーの役割ではない
団体であれば、自己完結で自分の役割だけを果たし、言われたことだけをそつなく作業のように実行していれば、コミュニケーションによる全体の共有を自ら生み出す必要などないかもしれません(編集部注/本書では、スポーツにおいて、「団体」は個人の力を「足し算」して戦い、「チーム」は「掛け算」して戦うという違いがあると解説している。足し算であれば自分の役割さえ果たしていればいいが、掛け算は自分の役割を超えた臨機応変さや関係性が求められる。本書で解説している「団体」と「チーム」の定義から、日本がオリンピックでもメダルを複数回獲得している野球やソフトボールの構造は、チームではなく団体に近いと言える)。
しかし、団体的なスポーツと述べた野球でも、大谷翔平さんのようにスーパーな主体性と自立性があり、積極的にコミュニケーションしていけば、高い信頼が生まれ、団体もチームとしてより強くなるということをWBCやMLBのドジャースで証明してくれています。
もし、この記事をお読みの方がチームの一員として働いていきたいのであれば、あなたという個人の主体性と自立性を、まず自らが意識して育んでいかれてはいかがでしょうか?あなたのチームは必ず、そこから変わり始めるでしょう。
つまり、チームづくりはリーダーの役割ではなく、一人一人の個人の自立性と主体性、そしてそこから生まれるコミュニケーションの力によって生み出されているのです。読者のみなさんにもチームを変えていけるチャンスと責任があるということでもあります。
「チーム」という概念は、ビジネスよりもスポーツの方がイメージしやすいかもしれません。「チームスポーツ」という言葉は、スポーツの得意不得意、好き嫌いに関係なく、誰もが知っている言葉です。
一方、「チームビジネス」という言葉は、働く人たちにとっても耳慣れた概念や言葉ではありません。