良かれと思ってやっている、その声かけ、関係づくりが、子どもの個性・才能をつぶしている!?親として、どのような意識をもって、わが子との関係を築き、声かけやコミュニケーションをとれば正解なのか?メンタルコーチで産業医のスポーツドクターが具体的な思考法と実践法をわかりやすく解説する。本稿は、辻秀一『メンタルドクターが教える 個性を輝かせる子育て、つぶす子育て』(フォレスト出版)の一部を抜粋・編集したものです。
子どもの個性や才能を
潰しかねない「認知的思考」
「自分らしく生きてほしい」というのは、どんな親にとっても心からの願いであるはずです。
しかし、多くの親が子どもには自分らしく生きてほしいと思う一方で、「何かしらの社会的尺度の評価を得てほしい」といった認知的思考が強くなってしまいます。
親が子育てする際の最大のネックは、人間固有の認知的な思考の癖です。
子育てには、油断すると思考しかねない「認知的思考」から離れて、新しく苦手に感じる、もう1つの思考を親が意識することが必要です。
もう1つの思考とは、私は「認知的思考」と区別するために「非認知的思考」と呼んでいます。
認知的思考は、行動や結果など、外界に対しての対処的な脳の使い方です。これは、学校で習ったり、社会で生きる上で必要で、頭がいいと言われる人の脳の使い方です。
一方、非認知的思考は、人間の内面に向いた非定量的な部分を大切にする思考です。つまり、自分らしさや人間力につながり、そこに価値を重んじる脳の使い方です。自分自身に向き合う脳とも言えます。
しかし残念ながら、人間は誰でも「非認知的思考」が苦手です。非認知的思考がなくても、大人は社会に出て活躍することはできるので、脳は無意識に非認知的な思考を軽視してしまいます。