しかし、ビジネスもスポーツのように、1人だけではできないものです。そして、本記事のタイトルである「チームワークの大原則」を、働く人たちが知らなくてよいというわけではありません。
スポーツとは「文化」であり
「体育」ではない
スポーツがビジネスの働き方や成果、あり方に至るまで大いに参考になるという考え方は、実は日本は世界に比べてとても遅れていると言わざるを得ません。
オリンピックをはじめ、MLBや日本代表の試合など、さまざまなスポーツがわたしたちの周りに溢れているにもかかわらず、そこから学ぶ考え方が浸透していないのは、日本のスポーツの概念として、いまだに「体育」のイメージが強くあることに起因しているのではないかと推察されます。
日本ではすべての人がスポーツの授業ではなく、体育の授業で育っています。加えて、部活においても「文化系」と「体育会系」に分けられています。
それらの影響から、スポーツに打ち込む人やスポーツ界で生きている人をプレイヤーやアスリートではなく、「体育会系」と表現してしまう感覚が、わたしたちの脳に強く残っているのです。
例えば「スポーツとは○○である、××ではない」という一文に、みなさんはどのような言葉を入れますか?わたしは「スポーツとは文化である、体育ではない」という考えで仕事をさせていただいています。
平成23年に制定されたスポーツ基本法の前文冒頭にも「スポーツは、世界共通の人類の文化である」と書かれていますが、いまだに、まったく社会には浸透していません。
「文化」は英語でcultureといいますが、その語源はフランス語系のラテン語で「カルティベイティブ」。人として耕され、人として心豊かに生きるための人間活動という意味だそうです。
スポーツとビジネスの
チームづくりは似ている
一方、体育だと「体だけが育つ」「体だけを育てる活動」になってしまいます。スポーツが文化だとすれば、ビジネスに必要な人のあり方やチームのあり方などを学ぶ素材や共通点が見いだせることが想像できるのですが、それが体育では難しくなります。