また、なぜその会社で働いているのか、それぞれの思いを会話などで共有したことはありますか?

 こうしたコミュニケーションには手間がかかりますが、あなたを含めてそこに価値を重んじる人が増えていくことで、エクセレントチームへの道が開きます。

 さて、組織に所属する仲間同士の共有は、どのように開始していけばよいのでしょうか?その第一歩は、自分が所属するチームの仲間に関心を持つことです

 チームメイトは仲間ではありますが、友達とは違います。そしてチームメイトは必ずしも自分が選んだ相手ではありません。あなたが意志を持ってチームや組織を選んだ結果、今のメンバーが仲間になったのです。

 この点を理解するには、組織に対する認知的な共有とは異なる視点が求められます。それが「視野を広げる」ということです。

 自分が直接選んでいない仲間と共有レベルを上げるのは、そう簡単なことではありませんが、「共通点」を見つけることが突破口になります。

 チームメイトとの一番の共通点は、その人も自分の意志でこのチームや組織を選んだという事実です。その人も同じ人間であり、心や行動、感情を持つ存在です。「ヒューマンリテラシー」が適用される、人間の心や感情、パフォーマンスなどの仕組みを備えた存在であるということに目を向けることで共通部分が見つけやすくなります。

「違い」を理解した上で
共有する努力が大切

 とはいえ、多くの場合は、一人一人が持つ個性が異なり、感じていることや抱えている感情が人によって違うため、その「違い」を理解した上で共有する努力が必要になります。これも「ヒューマンリテラシー」を理解していれば、落ち着いてその違いを受け入れることができるでしょう。

 コミュニケーションを重ねるうちに、新たな共通点を見つけられることもあります。例えば、同じ好きなものがあることに気づいたり、価値観が似ていることで新しい発見が生まれたりするかもしれません。

 価値観の違いばかりに目を向けて不機嫌になるのではなく、共通点を探すためのコミュニケーションを心がけましょう。その基本は、仲間の話をよく聴き、自分の考えや思いを伝えることです。チームの仲間はみな同一ではないし、金太郎飴のようにどこを切っても同じ形をしているはずがありません。それぞれが「同じ部分」と「違う部分」を持ち合わせています。