一般人は真似すべきでない
卓越した“おばさんいじり”

 それはもう、きみまろさんの芸です。たいへんな話術です。ものすごく卓越していて、しかも聞きに来ている人もそれを笑いに来ているわけです。これをライブ会場みたいなところでやる分には何の問題もありません。でも一般の人が「おばさんはこうだ」などと言って笑わせるときには上手に言う必要があります。

 女性と男性の違いは明らかにあるわけですが、今の時代は女性と男性を区別すること自体が厳しくなってきています。

 私が講演で話しているコミュニケーションの一例を紹介しましょう。

「私がホテルのカフェで編集者と打ち合わせをしていると、隣に5人が座りました。それが男性同士の場合には、1人ずつ話をしているので支障はないのですが、女性5人になると、こちらの声が聞き取れなくなります。なぜかというと、女性は3人くらいがいっぺんにしゃべるからです。女性たちの会話は、話題のボールが3つあって、みんながいっぺんにしゃべったとしても成立します」

 この話に対して、女性が多い会場ではみんな心当たりがあるから笑いが起きます。そこで「いちおう念のため、なぜこのようなことが起きるかというと、雑談力という点においては女性のほうが優れているからです」と言って、さらに笑いをとります。

「発言するというのは、たとえば1つのボールを扱うことですから、ボールゲームをするときに2つのボールをいっぺんに扱えるのと同じで、2人が同時にしゃべってもちゃんと会話が成立するというのは、明らかに女性は話題のボールを扱う能力が高いということです。すごいことですね」と、褒めながらフォローするオチをつけているわけです。