もちろん、本人へ直接向けられる言動の影響はさらに大きいことでしょう。たとえば、親が子どもの顔立ちにネガティブな言葉をかけたりすると、子どもが見た目にとらわれたり心理的に不健康な状態になってしまいかねません。

 子どもは、親が自分に対して言ったことの影響を受けるだけでなく、親がしている行動を見ることによってその影響を受けることもあります。たとえば、家族が見た目を意識したり装いが好きだったりすると、それを見て子どもも見た目を意識したり、おしゃれに興味をもったりするようになります。

 見た目についての考え方や装いに限らず、さまざまな側面において、親が子どもに及ぼす影響(特に母親から娘)は大きいです。成長していくにつれて、友人の影響力が強くなっていくことも知られていますが、子どもの年齢が低いほど親の影響は大きく、成長してからもその影響は残ります。

他者の目線を気にするのは
成長過程において当たり前

 親以外に影響を及ぼすものとして、心身の発達もあります。一般的に、成長するほど見た目を意識するようになるとされています。これは、第二次性徴による身体の変化も影響していると考えられます。

 ご存じのように、第二次性徴によって、男女ともに身体に大きな変化が生じます。機能における変化もありますが、見た目においても大きな変化が生じます。男子であれば、体つきがしっかりとし、声変わりも生じてきたりします。女子であれば体つきが丸みをおびたものとなり、また、乳房が大きくなったりします。なお、男女とも、体毛が脇や陰部に生えてきたり濃くなったりしますし、男子であれば髭が生えてきたりもします。

 それは周りから一目見ればわかるくらいの大きな変化であると同時に、自分にとっても大きな変化です。今までの身体の状態と違ってきていることに大きな困惑や不安を抱くことになります。まさしく、アイデンテティに揺らぎが生じるわけです。

 そして自分の意識がこれまで以上に身体に向かい、また、他人にどのように見えているかを意識するようにもなるでしょう。