成長するに従い、他者の視線をより意識するようになるのは普通のことです。そこに身体の変化がともなっているので、他者からどのように自分の身体が見られているかをより意識するようになります。
同性異性限らず他者の反応も変わるので、結果としてさらに見た目を意識するようになってきます。発達による心身への影響はよく言われることですが、見た目への意識という要因は大きな影響を持っているといえます。
なお、自尊感情(自分に意味があると思うこと)は第二次性徴が始まると低くなってしまう傾向があることが知られていますが、これは、変化した身体の受容、そして見た目の受容をうまくできないことなどが少なからず影響していると考えられます。
とはいえ、調査Aのデータ(編集部注:著者が2024年に全国の小学生女子を対象におこなった調査)では、小学生の学年によって見た目に対する意識が大きく異ならないことも確認されています。現在は、第二次性徴がくるまえの段階で、周囲の環境により見た目を意識するようにすでになっており、発達の変化による影響が及ぼす余地が少ないという状態なのかもしれません。もしくは、同じ「気にする」でも、その気にする内容や質などが変わってくるのかもしれません。
都会の子どもの方が
見た目を意識している?
ところで、都市部とそうでないところでは、見た目への意識が異なるのではという疑問を持つ人がいるかもしれません。つまり、「都会の子どものほうが見た目を意識しているのでは?」という疑問です。
実は、これまでの調査で、住んでいるところで特に違いは無いことが確認されています。ベネッセ総合教育研究所がおこなった調査における、見た目を意識する程度のデータの再分析をおこない、大都市、中都市、郡部の3つ(市区町村の人口密度と人口規模を考慮した3つの地域区分)による違いがあるかを調べてみました(注1)。