博士前期課程や後期課程についても同様であり、少なくとも国際的に見て日本における留学生が「多い」ということはできない。

 さらにいえば、留学生は日本の社会や経済に大きく貢献する可能性を持っている。

 だから現在、日本政府は日本への留学生の国内での積極的な就業を進める政策をとっている。少子高齢化により人口減少が続く日本社会において「働き手」を求めてのことである。

 2022年の場合、新規に日本に入国した留学生は16万7128人。これらの学生のうち、政府が目標とする60%が日本国内に就業すれば、10万人近い労働力が毎年新たに確保できる計算になる。

 他方、日本では今後5年間の間に毎年40万人から50万人の生産労働人口が減少すると予測されている。すなわち、留学生を日本国内に定着させることができれば、それだけで生産年齢人口減少の4分の1近くが補えることになる。

 だからこそ、今後は大学教員にとって、こうして迎え入れた留学生の就職先をいかにして確保し、留学生や企業等の橋渡しをするかも、大きな仕事のうちに入ってくる。

 インバウンドの観光客が増えるなか、中国や韓国からの留学生の中には、日本国内の関連産業に就職する人たちも増えている。だからこそ、留学生の受け入れと、彼らをいかにして日本国内に定着させるかは、日本の大学にとって大きな課題となっている。