面接練習の方法
伝える力、アウトプットの向上のためには、とにかく練習と回数です。
社会人訪問の前に、まずは仲間同士で練習しましょう。自分が話したことに対して、どんどん質問してもらう。このトレーニングを重ねることで、自己理解を深めることもでき、深掘り質問や突飛な質問にも対応できるようになります。自分では気づけなかった“あいまいな表現”や“矛盾点”を指摘してもらえるのも、チーム戦(仲間との練習)の最大のメリットです。
面接で重要なのは、飾らずに自分の言葉で語ることです。新卒採用では、企業は可能性を探っています。つまり、完成した人を探しているのではありません。まだ粗削りだとしても「あなたの自身のことを等身大の言葉でちゃんと伝えてほしい」と思っています。それができる人を求めているのです。
そのためには「何を聞かれても答えられる」という状態で臨むことが重要です。「この話題だけは避けたい」「ここはつつかれたくない、質問されたくない」といった思いがあると、自信を持って話すことはできません。“何を聞かれても大丈夫”という心理状態にあるからこそ、面接における最大の自信源になるのです。
オンライン面接では、背景に工夫を加えたり、フリップを使ったりして、自分らしさを演出することも可能です。こうした演出や小道具があることで、面接を自分の場にすることができると感じる方は、是非活用してみてください。緊張せずに、自分らしく話すことができるはずです。
また、動画提出の面接の場合は、必ず第三者の客観的な視点を取り入れることが重要です。たとえば、意外に見落とされがちなのは、時間制限です。1分と時間が決められている場合、オーバーしてはいけません。1秒ならいい、といった考えが命取りになります。オーバーした時点で、社会人として指定された最低限のことが守れないという評価になってしまうからです。
動画提出やオンライン面接は、「その人の工夫・準備力・自律性」を問われる新たな選考形式です。活かし方次第で、自分の魅力をより伝えるチャンスにもなるので、是非こだわってみてください。
面接に苦手意識をもっていても、正しい方法で練習を重ねれば、誰でも必ず改善できます。話下手でもコミュニケーション力に不安があっても、とにかく練習あるのみです。練習の“質”と“量”が、最後の合否を分けるのです。
「親離れ・子離れ」の絶好のチャンス
就職活動は、社会人になる前に、子どもが「自分で選択して進む」練習の場でもあります。自分で選んだ道であれば、仮に失敗したとしても、そこからは必ず何かを学びを得て、次に繋げることができます。しかし、人から言われて選んだ道で失敗すると、「信じた私が悪かった」という他責で後ろ向きな思いしか残りません。
人は一人で生まれ、最期は一人で死んでいく存在です。最終的には自立しなければなりません。そして「自立」とは、私が考えるに、自分だけで生きるのではなく、自分の大切な家族を背負って立つ覚悟を持つことです。
就職活動は、子どもが親から精神的に自立し、親自身も子どもを手放す勇気が試される時です。親子共に成長する機会として、「信じて見守る」という大きな一歩を踏み出してみませんか。
(本稿は、『絶対内定2027 自己分析とキャリアデザインの描き方』『絶対内定2027 エントリーシート・面接』の発売を記念した、オリジナル記事です)
株式会社ジャパンビジネスラボ代表取締役社長/キャリアデザインスクール・我究館館長/『絶対内定2027』シリーズ共著者、国家資格キャリアコンサルタント
青山学院大学経済学部卒業後、日本航空にて客室乗務員(CA)として勤務。その後、夫・杉村太郎のハーバード大学ケネディスクール留学に帯同し、帰国後はテレビ朝日・BS朝日にてニュースキャスターとして活躍。社会の最前線から情報を伝える立場を経験したのち、証券アナリストに転身。上場企業の経営者100名以上に直接インタビューを行い、企業分析や業界研究のスキルを培う。その後、大和総研にてマーケットリサーチ、営業支援、広報、そして新卒採用(インターンシップ設計を含む)や人材育成など幅広い業務に従事。採用と育成の“企業側”のリアルな視点を熟知している。2014年に株式会社ジャパンビジネスラボ代表取締役に就任。2023年よりキャリアデザインスクール「我究館」の6代目館長として、学生の「本気の就活」に伴走し続けている。多彩なキャリアと人生経験を活かし、「やりたいことが見つからない」「自分に自信が持てない」と悩む学生一人ひとりに寄り添い、我究(自己分析)を通じて“自分だけの道”を見つける支援を行っている。