我究館・杉村貴子館長就活における「正しい自己分析」とは何か。我究館・杉村貴子館長が解説する Photo by Kuniko Hirano

キャリアデザインスクール「我究館」は、徹底した「自己分析」手法によって、これまでに約1万人の就職活動を成功に導いてきた。なぜ、就活には自己分析が必要なのか。どのような方法で行うべきか。館長を務める杉村貴子氏に聞いた。(取材・文/ダイヤモンド・ライフ編集部、撮影/平野晋子)

*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2025」の「『我究館』館長発 就活を始める人へのメッセージ」をオンライン版向けに再構成したものです。

「正しい自己分析」とは何か、なぜ必要なのか

――就職活動(就活)を行うに当たっては、「自己分析」がとても重要といわれますが、「我究館」では30年以上前から自己分析に基づくキャリアデザインの構築を提唱してきました。

杉村 就活は、多くの学生にとって初めて自分自身を評価される機会です。自分がどのような人物かをきちんと伝えられなければ、内定は得られません。そのために必要なのが、「正しい自己分析」です。

 就きたい職業も就活の始め方も全く分からない――。現在は社会の第一線で活躍する我究館の卒業生たちも、大学生のころはこんな漠然とした不安に襲われ、とにかく内定を得たい一心で我究館生になったという人が大半です。

 我究館では、最初の講義から自己分析を行います。生い立ち、現在学んでいること、そして、長所や短所、将来の夢といった内面について、自分の考えを整理した上で、コーチや仲間に言葉で伝えます。自分一人で行う自己分析は「分かったつもり」で終わってしまいますが、他人の意見を聞くことで自分の内面がより鮮明になります。ですから、自己分析には仲間とのディスカッションが欠かせません。

 自分の嫌な部分を人前で話すのは、誰にとってもつらいものです。しかも、つらい思いをして言葉にしたことが、すべて肯定されるとは限りません。甘い考えや根拠のない主張は、容赦なく指摘されます。それを受けて、改めて自分とは何者かを考える。自分の考えをアウトプットし、フィードバックを受ける訓練をひたすら繰り返しているうちに、最初はあやふやでも、少しずつ自分の考えに自信と確信を持てるようになっていくのです。

 中には、「内定の取り方を学びに来たのに、なぜ自己分析が必要なのか」と疑問を抱く人もいます。しかしながら、就活のゴールは内定ではありません