また、副交感神経は食べたものの消化を助ける役目があるので、働きが低下すると消化不良を起こし、胃痛につながることも。
もし、病院へ行っても原因がわからない慢性的な痛みがあれば、それはストレスによって自律神経が乱れたせいかもしれません。ゆっくり風呂に浸かるなど、心身をリラックスさせてあげると、自然と痛みが消えていく場合もあります。
自律神経による不調・症状(2)
不快感
自律神経の乱れによる不調は痛み以外にも様々。なぜなら、呼吸、心拍数、血圧、消化・吸収といった機能を制御しているのが、ほかならぬ自律神経だからです。自律神経が正常に働かないと、心身にあらゆる不快な症状が生じてきます。
例えば、緊張やストレスで交感神経が過剰になると血圧や心拍数が上がり、呼吸が浅くなっていきます。それによって起こるのが、「動悸」や「息切れ」の症状。この状態が長く続いたり、ひどくなったりすると、過呼吸になることもあるので要注意。そんなときは深く息を吸って、ゆっくりと吐き出し、副交感神経を働かせて呼吸を落ちつかせましょう。
また、痛みと同様、自律神経の乱れによる血流悪化で起きるのが「めまい」や「しびれ」です。めまいは脳の血流が悪くなることが原因ですが、女性は自律神経の不調からホルモンバランスが崩れることでも起きます。一方、しびれは血流が滞りやすい手先、足先などによく見られます。
体温調節機能を担うのも自律神経。そのためバランスが崩れると、極端に冷えを感じたり、逆にほてりやのぼせが起きたり、体温調節をうまくできなくなります。
ただし、動悸、息切れ、めまい、しびれ、冷え、のぼせといった症状は、自律神経の乱れだけでなく、ほかの病でも生じる可能性があります。まずは病院を受診して、原因を明らかにすることが大切です。
自律神経による不調・症状(3)
便・尿のトラブル
不安を感じたり、緊張したりすると急にお腹が痛くなる。ストレスが続くと下痢や便秘になる。多くの人が経験することですが、まるで腸と心は繋がっているかのように思えます。
実際、腸と心=脳は、自律神経を介して互いに影響し合っていて、医学的にこれを「腸脳相関」と呼びます。ですから、自律神経が乱れれば、腸にもトラブルが生じ、反対に腸が不健康だと、自律神経も乱れてくるのです。冒頭の急な腹痛や、ストレスによる下痢、便秘はまさにその証拠。ほかにも、長期間下痢や腹痛が続く「過敏性腸症候群(IBS)」も自律神経が関与していると言われています。ストレスなどで副交感神経の働きが低下し、消化や排便がスムーズにいかなくなることが主な要因です。