「結果を出す人」は、何を考えているのか? それを明らかにしたのが、プルデンシャル生命で伝説的な成績を残したビジネスアスリート・金沢景敏さんの最新刊『超☆アスリート思考』です。同書で金沢さんは、五輪柔道3連覇・野村忠宏さん、女子テニス元世界ランキング最高4位・伊達公子さん、元プロ野球選手・古田敦也さん、元女子バドミントン日本代表・潮田玲子さんほか多数のレジェンドアスリートへの取材を通して、パフォーマンスを最大化して、結果を出し続ける人に共通する「思考法」を抽出。「自分の弱さを認める」「前向きに内省する」「コントロールできないことは考えない」「やる気に頼らない」など、ビジネスパーソンもすぐに取り入れることができるように、噛み砕いて解説をしています。本連載では、同書を抜粋しながら、そのエッセンスをお伝えしてまいります。

「一流」と「それ以外」を分けるもの
仕事で「結果」を出す――。
僕たちビジネスパーソンは、日々、そのために懸命の努力をしています。
だけど、なかなか思うようにはいきませんよね。何をやってもうまくいかないときもあれば、プレッシャーに押しつぶされそうになったり、どうしてもやる気が出なかったりすることもあるでしょう。
あるいは、「結果」を出すことができず、自分にはそもそも「能力」が欠けているのではないかと落ち込んだり、この仕事に向いていないのではないかと「迷い」が生じることもあるかもしれません。そんななか、なんとか「結果」を出すためにもがいている方が多いのではないでしょうか?
僕自身がまさにそうです。
これまでのキャリアにおいて、常にもがき続けてきたように思います。
特に苦しかったのは、新卒で入ったTBSを33歳で退社して、プルデンシャル生命の営業マンに転身した頃のことです。
TBSを辞めたのは、仕事に不満があったからではありません。むしろ、幼い頃からスポーツが大好きで、中学・高校では野球、大学ではアメリカン・フットボールに熱中していた僕にとって、スポーツ番組の制作、そして編成を担当させてもらえたことは実に幸運なことでした。
僕を苛んだ「自己嫌悪」とは?
ただ、それが僕を苦しめる原因にもなりました。
というのは、僕がTBSのスポーツ担当になれたのは、京都大学アメリカン・フットボール部で名将・水野弥一監督に鍛えられたという「ブランド力」のおかげだったのですが、選手時代に口では「日本一になる」と言いながら、本当のところ本気で努力をしてはいなかったからです。
「もうこれが限界」というところまで練習をして、そこからさらにもう一歩踏み込んだ練習をする。「本気」とはそういうことです。いや、そこまでしなければ「日本一」などなれやしません。だけど、僕はそこまではできなかったのです。
しかも、当時の僕は、そのことを自分でわかっていたし、水野監督にそれを見抜かれていることも察していました。
それでも僕は、そのことから目をそらし、「自分」を誤魔化し続けることしかできませんでした。にもかかわらず、「京大アメフト部出身」というブランドを武器に、TBSでスポーツ番組を担当するというポジションを得て、周囲からチヤホヤされて“いい気”になっていたのです。
ところが、テレビで紹介するのは超一流のアスリートばかり。彼らは一人残らず、「結果」を出すために、本気で自分を追い込んでいます。そして、勝ったときには本気で喜び、負けたときには本気で悔しがります。
その嘘偽りのない姿を目の当たりにするたびに、僕はいつも、「お前は偽物だ」という自分の声に脅かされるとともに、拭いがたい自己嫌悪に苛まれていたのです。
そして、あるとき限界を迎えました。
自分のカッコ悪さに耐えられなくなったのです。
そんなタイミングで、知人に完全フルコミッションの凄腕の営業マンが集うプルデンシャル生命への転職を誘われた僕は、「日本一の営業会社で、日本一の営業マンになる」ために全力を尽くしたいと思いました。もう一度、本気で「日本一」をめざすことで、「自分」を取り戻したいと思ったのです。
「結果」を出すしか生き残る道はない
だけど、現実は甘くはありませんでした。