埼玉で大人気だった「開智所沢」
まずは、一般入試解禁日が10日の埼玉と20日の千葉の1月入試で受験生が多かった上位20の入試回について、図1で見ていこう。県立の中高一貫校は外してある。まず、男子では1位に栄東[A日程]が入っていたものの、女子は偏差値が60を超えるため、対象外となってしまった。
全体的に「開智」という字が目につくのも男子同様で、25年は開智学園の学校が埼玉を席巻した年だった。24年に開校して25年に大躍進した開智所沢が、1位10日[1回](1725人・2倍)、4位12日[2回](1023人・4倍)、8位11日[特待A](790人・12.2倍)、11位15日[特待B](743人・3.7倍)、12位11日[算数特待](735人・26.3倍)と5つも入っている。偏差値は46(2回)から57(特待A)と幅があり、さまざまな学力の受験生を引き付けたことがうかがえる。
開智と入試日程と内容をそろえて希望すればどちらの学校の合否判定も可能という1回の受験で2つの合格チャンス、何回受験しても追加の受験料は取られない受け放題の設定、所沢という私立中高空白地帯の県西部に拠点を構えた地の利(JR武蔵野線で東京多摩地区からの集客も期待)の3つが躍進の背景にある。
その結果、開智所沢の受験生吸引力は、狭山や入間、飯能といった周辺エリアに多大なる“被害”をもたらした。どの学校も受験生が減少している。24年は募集人員より6割多い入学者数だったが、教室の余裕もあるということで、25年は募集人員300人の12倍もの合格者を出し、実際、入学者数も大幅に募集人員を上回っているもようだ。東京では考えられないことではあるが、26年入試でもこうした柔軟性は発揮されることだろう。さっそく、募集定員(付属の小学校からの内部進学生を含む)を25年の300人から26年は360人に増やしている。
他にも、こまめな変更が26年には行われる。複数回受験加点制度は、1月12日[2回]の一般合格判定時に10日[1回]も受験していたら30点加点される。また、15日[特待B]でも[1回]または[2回]のいずれか1回でも受験していれば同様に30点加点される。
11日[特待A]と15日[特待B]から選抜されたS特待生が所属する特待医進クラスに、26年からはA特待生と準特待生も加わる。本科にも医進クラスを設けて、こちらには一般合格生が所属することに。また、同クラスの国算理3科は、280点満点(国語100点、算数120点、理科60点)から理科を120点にすることで340点満点に変更される。特待生入試はすでに中堅上位校レベルとなっており、26年は上位校に迫ることになりそうだ。ちなみに、出願時に他に選択できるクラスとしては、「国際」と「探究」がある。
2月4日[日本橋併願]の同時判定校は開智日本橋と開智(一貫部)、開智望だったが、これらに開智未来も追加される。