「オルカン一本足」で大丈夫?分散投資の“落とし穴”を埋める「Jリート投信」という選択肢

ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025の「リート部門」で最優秀賞を受賞した投資信託が「野村Jリートファンド」(野村アセットマネジメント)だ。3回連続の受賞で、直近5年、3年、1年のいずれの期間でも東証リート指数を上回る成績だ。指数を上回る成績をマークし続ける秘訣は? なぜJリートが投資対象として有望なのか? 運用担当者の延原知行さんに聞いた。(市川森彦、ダイヤモンド・ザイ編集部)

Jリートの分配金利回りの平均は5%超!
過去20年間で最高の水準

――Jリートは昨年末から好調ですね。分配金利回りもかなり高水準です。

延原 東証リート指数(配当込み)は、2024年12月末~2025年6月末の6カ月で10.3%の上昇です。セクター別に見ても、オフィスが大きな上昇を示すなど、ほとんどのセクターで上昇しています。

野村アセットマネジメントの延原知行さん 延原知行(のぶはら・ともゆき)さん●野村アセットマネジメント チーフ・ポートフォリオマネージャー。1998年に野村アセットマネジメント投信(現:野村アセットマネジメント)に入社。エコノミスト、クレジットアナリスト業務などの経験を有し、2004年以降はJリートに関する調査・運用に一貫して従事。25年以上の運用調査経験を有する。

 また、特筆すべきは分配金利回りの高さです。5月末時点で、Jリートの分配金利回りは5.02%です。これは、過去20年程度を振り返ると、世界金融危機のリーマンショックや東日本大震災、コロナショック後を除けば、最高水準にあります。

――基本的な点からお聞きしたいのですが、Jリートは投資商品として、どういった強みがあるのでしょうか?

延原 Jリートは、投資家から資金を集めて不動産に投資し、そこから得られる収益を投資家に分配する金融商品です。株式と同様に証券取引所に上場しており、日中の市場で自由に売買が可能です。不動産投資には少なくとも数百万円の資金が必要ですが、Jリートであれば数万円から不動産投資が可能です。

 運用者である投資法人は、Jリートの利益の9割以上を分配金として支払うことで、法人税がほとんどかからないという税制上の優遇措置を受けられます。そのため、投資家にとっては高い分配金利回りが期待できる金融商品です。野村Jリートファンドは、そのJリートを投資対象として組み入れている投資信託です。Jリートの各銘柄からの分配金の範囲内で分配金をお支払いする方針で、残額は再投資によってファンドの成績に反映されます。

 現在、東証に上場されているJリートは57銘柄あります。オフィスビル、商業施設、賃貸住宅、物流施設、ホテルなど、多岐にわたる不動産が投資対象となっており、単一のセクターに特化して投資する銘柄もあれば、複数のセクターに投資する総合型の銘柄もあります。野村Jリートファンドは57銘柄すべてを投資対象としつつ、質の高い銘柄やセクターの組入れ比率を高めています。

――「野村Jリートファンド」は、過去5年(2020年~2024年)の成績で、東証リート指数を上回る成績を収めています。何が好成績の秘訣でしょうか?

延原 野村Jリートファンドの最大の特色は、「質の高い銘柄を厳選し、適切なタイミングで投資する」という運用方針です。Jリート市場には本当にさまざまな銘柄が存在し、「玉石混交」ともいえる状況です。その中で、私たちは個々のJリートが持つ不動産ポートフォリオ、経営戦略、財務状況などを深く分析し、よい銘柄を厳選することに注力しています。

 また、単によい銘柄を選ぶだけでなく、投資のタイミングも非常に重要視しています。市場の動向や金利環境、各セクターの特性などを総合的に判断し、より高いリターンを目指すために最適な買い付けタイミングを見極めるよう努めています。

――どのような分析手法を用いているのでしょうか。