並行して、何か問題が起こったときには随時フィードバックすることが求められます。そう考えると、私の実感では6名程度が適切です。
たとえば、工場でのオペレーション業務だと、部下が数十人つくということもあります。仮に彼らがやる仕事が単純作業だとしても、マネジメントも単純になるわけではありません。仕事をしているのは機械ではなく、それぞれが違う個性をもった人間だからです。
本来であれば、営業で回りながら部下20名のマネジメントもおこなう、などということは不可能な話なのです。とても1人ひとりのことまで見ることができませんから。
日本の組織のほとんどは、優秀な担当者がそのままマネジャーに引き上げられて、プレイヤーとしての仕事をもちつつ、部下のマネジメントも課されます。
しかしグローバルカンパニーでは、会社が安定的・継続的に成長し続けるには、従業員1人ひとりに向きあい、モチベーションやワーク・ライフバランス、価値観までを含めてかかわり、個人の可能性を引き出すことで、成果の最大化をめざすことが重要だと認識しています。
これがピープルマネジメントです。
管理職が敬遠されるのは
罰ゲーム化する構造のせい
日本ではよく「企業は人なり」と言いますが、その実態は、個々人の人間性を重んじて、その人生を大切にするのではなく、企業を成り立たせている資材、資産だから大切だという意味でしかありません。つまり、誤解を恐れずに言えば、そこでは人とはあくまでも事業を回す「コマ」なのです。
もうひとつの問題は、マネジメントの定義が曖昧であるということです。
私の知る限り、日本企業では「そもそもマネジメントとは何なのか」という概念的な理解が圧倒的に不足しています。そのためマネジャーは「現場の中間管理職として、あなたはどんな役割を果たすべきなのか」を定められないまま、前線に立たされています。