しかしなぜか日本企業では、数字を稼ぐ営業部門、またはモノづくりを司る製造部門がいちばん力をもっていて、あとの部門はその下請けだというような文化があります。人事は「利益を出せない」間接部門としてヒエラルキーの最底辺に位置づけられています。

安田雅彦、SBクリエイティブ
人事の本来の役割のひとつは、個々の中間管理職のマネジメントにまで踏み込んで、あるべきマネジメントのスタイルを提示し、それができるようになるために導いていく、そしてそのクオリティを維持することです。
経営と従業員の間に挟まれて小さくなっていたり、「人が好きだからやっています」なんて情緒的になったりしているのは、全くお門違いです。さらには「従業員が悪いことをしないように」と監視・監督する部門でもありません。
人が「この会社で明日もがんばろう」と思えるのは、会社に求めていることや、今の仕事がもっている価値、会社がめざしている世界観に対して、「自分も同じだ」「私もその世界を見たい」と共感できるから。つまりエンゲージメントを高くもっているからです。
個人の伸びしろを示し、それが成長機会であると伝えること、つまりフィードバックすることで人は成長します。
人事部は、それを仕組み化して、会社全体をリードしていく役割をもった機能なのです。