Ridgelinezの調べでも、取り組みに対する推進課題について企業変革/DXが進んでいる企業は、進んでいない企業と比較して「企業変革/DX人材の不足」「既存の習慣が根強く、変化に対する抵抗感がある」などが大きな課題となっている。取り組みが進んでいるからこそ、「人・スキル」といった経路依存性の課題に直面しているといえる(図00-02)。
もともと日本には経路依存性が強い企業が多く、過去の成功体験や日本固有のビジネスモデルのなかで最適化されてきた組織の仕組みを、現在だけでなく未来にも当てはめようとする傾向が顕著だという。新卒一括採用などのカルチャーはその典型だが、それまでの人事制度や業務形態を守り抜こうとするマインドが、変化への適応や組織そのものの変革の足かせとなっているといわれている(※)。
(※参照:Japan Innovation Review「“降りる駅を変える”ことから『知の探索』を始めよう イノベーションはどうすれば起こせる?」、早稲田大学大学院経営管理研究科・入山章栄教授のインタビューより)
経路依存性から脱却できない要因には、Person(人的要因)、Organization(組織的要因)、Business(ビジネス的要因)、Technology(技術的要因)の4つがあり、そうした企業がDXの推進において直面する主な課題には以下の4つが考えられる。
(1)変化を避けるマインドセットと文化
(2)縦割り組織による部門間連携の阻害
(3)過去の成功モデルへの固執による意思決定の停滞
(4)新技術導入を阻むレガシーシステムへの依存
これをまとめたものが、図00-03になる。特に、(2)「縦割り組織による部門間連携の阻害」や、(3)「過去の成功モデルへの固執による意思決定の停滞」は、これまで終身雇用を前提としてきた多くの日本企業で共通する課題ではないだろうか。
つまり、より大きな成果につながる合理的な手法があったとしても、あくまで現状に固執して変わろうとしない考え方が、成果や成功への道を阻んでいるのだ。
(後編に続く)