「中学2年生くらいまで、いじめが激しかった小学校出身の女子生徒たちは次から次へとターゲットを変えて、ふざけ半分でからかったり仲間はずれにしたりしていました。私はクラスの中で浮いているタイプだったこともあり、そのターゲットになったことがあったんです。でも、2年生の中ごろには状況は落ち着いて、さらに高校に入るとその子たちが『自分たちが間違っていた』と私に謝罪にきたんです。渋幕にいる中で、『いじめなんてくだらない』と自分たちで気づいていくのではないでしょうか」
また、担任の先生は個々の生徒の話を聞き、それを他の先生と情報共有しながら見守りに活かしています。
「例えば、家庭環境の複雑さから荒んでしまっている子もいます。そうした子の心の問題を短時間で解決することは難しい。信頼関係を築きながら対応をしていきます」と菅野先生はいいます。
教員が先入観を持たず、枠にはめずにその生徒のありたい姿に向かっていけるように支援していくのです。
個性が強すぎる人でも
わかりあえる仲間がいる
高校3年生のAくんにも友人関係について話を聞きました。
すると、「色々なキャラクターや興味を持った子たちがいて、ずっと一緒に時間を過ごす子だけではなく、話題に合わせて誰にでもフラットに話しかけられる雰囲気がある」といいます。
また、友人関係も豊か。
「ピエール・ブルデューの思想を授業で習った後に、日常生活の中で『これはブルデュー的に考えたら〇〇なんじゃない?』とふざけられる。そういう友達が周囲にいることは幸せだと思うんです。他校に進学した小学校時代の友達は、周りの話題に興味が持てなかったり自分の話のおもしろさを理解してもらえなかったりすると嘆いていました。渋幕にはそういった不安はないんです。探せば絶対に話がわかる人がいる、そんな安心感があります」
さらに、「守備範囲が圧倒的に他校の生徒と比べて広い」という言葉も飛び出しました。
休み時間、人だかりができて、日頃あまり一緒にいるのを見たことがないようなメンバーも混ざり合いながら、何かを議論していることがあったそう。「何の話をしているのだろう?」と思って近づくと、「日本の少子高齢化をどう解決するか」で盛り上がっていたといいます。それを見て、「うちの学校って、おもしろいな」と思ったと語ってくれました。