卒業生は「渋幕生は一生懸命に自分のやりたいことに向かって生きている印象があります。群れることは少ないのだけれど、波長が合う人は必ず何人かいて、私はそんな仲間を部活動で見つけることができました」と語ります。
中には、小学校時代に全く学校に行けなかった子が渋幕に入り、急にイキイキとして、「学校が楽しい」といい、保護者がほっとすることもあるといいます。
本気で語り合える仲間と
学生時代に出会えるのは財産
「大学に入ってから、渋幕の環境は“当たり前”ではなかったんだ」と気づいたという卒業生も多いです。
「大学に入ったら、サークルやバイトなどライトな話ばかりをする人が圧倒的に多くて驚きました。『なぜ生まれて、なぜ生きているのか』『死ぬまでに何がしたいのか』、そんなことを真面目に語り合える人は圧倒的に渋幕のほうが多かった」相談するならば、渋幕の同級生にしていると語る卒業生もいました。
「渋幕出身者は、自己実現している人が圧倒的に多いように感じます。置かれている環境は全く異なっていても、それぞれをリスペクトして深く話し合える感覚がある。突拍子もない返事がくることもあるのですが、妙に腑に落ちるんですよね」
もちろん、こうした生徒たちの関係性は一面を切り抜いたにすぎません。開校40年の歴史の中でさまざまな要因から辛い思いをした生徒もいるかもしれない。
とはいえ、いじめが起きにくい土壌ができているのではないか、という生徒や卒業生の印象も事実でしょう。そして、そこには「倫理感を正しく育てる」という教育目標の下支えも少なからず影響しているのではないかと思うのです。