要するに、この図表中で最も若い世代でも、日本全体では親が4年制大学を出ている方が少数派、第1世代の方が多数派だったのです。それなのに、東大生に第1世代が13%しかいない状況は相当に偏っていると言えます。
参考までに、2020年に全国19の大学の現役大学生約1000人を対象として実施された調査では、両親非大卒すなわち大学第1世代の比率は、国立下位大学では約52%、私立下位大学では約41%、国立上位大学では約35%、私立上位大学では約29%でした(注1)。
このように、上位大学になるほど第1世代は少なくなる傾向にありますが、とりわけ「国立最上位大学」である東大の第1世代の少なさには目を見張るものがあります。
格差が深刻なアメリカすら超えて
日本では高学歴の固定化が進む
東大生の親の出身校も気になるところです。彼らもやはりエリート大学出身者が多いのでしょうか。
図表2-1には、1人以上の親の出身校が旧帝国大学(東京大学・京都大学・北海道大学・東北大学・名古屋大学・大阪大学・九州大学)と一橋大学・東京工業大学・神戸大学の銘柄国立大学、早稲田大学・慶應義塾大学の銘柄私立大学、医学部医学科、海外大学のいずれかに該当するケースを、「親銘柄大卒」として計上しました(注2)。
驚くべきことに、東大生の親はこれらの銘柄大学出身者が42%、なかでも東大出身者が15%近く(!)を占めています。「高学歴再生産」の一端が窺える衝撃的な結果です。
このように、「親も大卒の東大生」は親もエリート大学出身である場合が多く、本記事で比較検討する「第1世代の東大生」との生まれや育ちのギャップは非常に大きそうです。
ところで、一国全体では第1世代の方が多くてもエリート大学には第1世代が極端に少ない傾向は、米国も同じです。
米国の代表的なエリート大学の第1世代比率は、プリンストン大学では約17%、イエール大学では約18%、ハーバード大学では約20%、スタンフォード大学では約21%となっています(注3)。