これらの大学は、大学自らが第1世代比率を集計・公表していることからもわかる通り、学内の多様性(Diversity)や公正性(Equity)を推進する上で、ジェンダー、出身地、障害、人種等と併せて大学第1世代の比率を重視し、第1世代に関する啓発事業や支援プログラムに力を入れています。
こうした米国のエリート大学より、実は東大の方が第1世代は少ないというショッキングな事実。にもかかわらず、私たちの「東大卒業生調査」以前にはこの事実がきちんと調査されてきませんでした。
そのせいで、東大がD&I(編集部注/ダイバーシティ&インクルージョンのこと。性別や年代、国籍や価値観など、人と人の間にあるさまざまな違いを受け入れ尊重しあい、多様性を社会や組織に組み入れて活かすことで、成長や発展を促そうとする考え方)を声高に唱え始めた現在に至ってもなお、学生の親学歴の偏りについては、ほとんど問題視されることがないままなのです。
同じ学校にいても育ちのいい
貴族と交流することは少ない
山内マリコの小説『あのこは貴族』(注4)が2021年に映画化されて話題を集めました。
この作品の中に、地方から慶應義塾大学に進学した(おそらくは)大学第1世代である主人公が、同じ大学に通っているのに、自分とはかけ離れた羽振りのよい――まるで「貴族」のような学生生活を要領よく過ごす東京のエリート家庭出身の同級生たちと上手く交われない様子を、生々しく描いた場面があります。