トヨタ社の生産方式がルーツ
「生活のジャスト・イン・タイム化」

 第1は、「生活のジャスト・イン・タイム化」です。

 ジャスト・イン・タイムというのは、必要なものを必要なときに必要な量だけ生産することで、在庫を徹底的に減らそうという考え方です。

 もともとはトヨタ社内で行われていた「かんばん方式」という生産技法がルーツで、ごく簡単に言うと、製品が売れた分だけこまめに部品をオーダーするものです。部品在庫がたくさんあると、その部品を使い切るために売れ行きが落ちたモデルも生産しなくてはなりませんが、在庫が少なければ、いま売れているものだけを生産すればよくなり、無駄が少なくなります。

 ジャスト・イン・タイムはコンビニエンス・ストアでも導入されています。店頭で売れた分だけをこまめに仕入れることで、売れない製品が店頭に並びにくくなります。また在庫量を減らすことで、小さな土地でも店舗の経営が可能になります。

 生活のジャスト・イン・タイム化とは、大量の物や情報を抱え込むことなく、そのときに欲しいものだけを手に入れ、消費するという意味です。ジャスト・イン・タイムには、状況に応じて臨機応変に需要に対応できるという特徴がありますが、生活のジャスト・イン・タイム化には、欲求を即時的に満たす効果があります。

 第2は、「興味のパケット化」です。これは物事に対する複数の興味や関心が、パケット(小分け)されていくつも存在する状態のことです。物質でも情報でも、小分けにしておくことで扱いが楽になり、交換も簡単になります。そこで興味をパケット化することで、つまり複数の興味を(深掘りしない程度に留めて)いくつも持っておくことで、限られた時間で色々と楽しむことが可能になります。

「生活のジャスト・イン・タイム化」も「興味のパケット化」も比喩であり、学術的な概念ではないので厳密な議論には適しませんが、リキッド消費を感覚的に理解するには役立つと思います。

 第3は、「一時的所有」です。リキッド消費が浸透すると「売ることを前提に買う人」が増えるようです。これはメルカリ、Yahoo!フリマ、Yahoo!オークションなど、フリーマーケットやオークションで売ることを前提に買い物をする人のことです。