アソートパックを選び
手間を省くリキッド消費
第2は、「いろいろ楽しむ消費」です。リキッド消費傾向の強い人は、「いろいろ楽しむ」傾向も強くなると考えられます。特定のブランドにこだわらず、多彩な製品やサービスを試してみるわけです。
リキッド消費には文脈特定的で実利志向的という特徴があります。こうした特徴は、「より大きな効用を追い求める、変化に富んだ消費」によって支えられることになります。つまり、その時々の気分で、いろいろなものを「少しずつ」楽しむようになるわけです。
たとえば、コストコで見かけるような巨大なまとめ売りではなく、アソートメント・パックや小さな使い切りタイプを選べば、その時々の気分にあわせて、さまざまなテイストやフレーバーを楽しめます。あるいは瓶入りのインスタントコーヒーでなくスティックコーヒーなら、毎回違う味を楽しめるでしょう。実際の調査でも、リキッド消費傾向の強い人々は「いろいろな種類の製品を、毎回変えながら、少しずつ購買する傾向」が強いことが示されています。
もちろん、いろいろ楽しむ消費は消費財に限りません。ストリーミング・サービスでは膨大な数の映像作品や音楽作品を気軽に楽しめますし、衣服のサブスクリプション・サービスによって、常に新しいワードローブを保つこともできるようになりました。
第3は、「ひと手間かけない消費」です。何年か前に洗剤自動投入型洗濯機がヒットしたそうです。洗濯機に洗剤を投入するのは大した手間でないように思えますが、実際に毎日洗濯してみると意外と面倒です。同じ結果なら、できるだけ手間を省きたいという人が増えてきたのでしょう。
ひと手間かけない消費とは、消費における省力化であり、その背後には「結果さえ良ければプロセスは問わない」という価値観があります。よほど趣味的なものでない限り、手間を省き、成果だけを求めるわけです。
このように考えると、先に述べたランキングを好む傾向も評価の効率性を高めるものであり、ひと手間かけない消費の一種といえるでしょう。
興味深いことに、「結果さえ良ければプロセスは問わない」という価値観は、消費だけでなく現代人の生活全般に浸透しているようです。リキッド消費傾向が強い人々は、苦労や努力はできるだけ避けて、効率よく幸せを手に入れたいと考えているようです。