このように、性別、分野や学位によっても異なりますが、「研究者、大学教員」を中心としつつ、それ以外にも非常に多様な専門職を東京大学は社会に送り出していることがわかります。
男性に多い経営者・役員というビジネスエリートだけでなく、さまざまな領域の専門エリートを東京大学は育成しており、卒業生の中でも特に女性は、東大卒という学歴資本だけではなく、それに加えて学位や資格、専門知識という武器を身につけてキャリアを築いていると言えます。
むろん、学歴資本と専門性がかけ合わされることで、東大卒の専門職がいっそう有利になっている可能性は否定できません。
それでも、東大卒の中のかなりの割合が、人生初期に身につけた学歴資本の有効性だけで勝負しようとしているわけではなく、それ以外の諸資本をも獲得し活かそうとしていることは銘記する必要があるでしょう。
東大OBの4人に1人が
超大企業に勤めている
続いて、就労者の勤務先の規模を見てみましょう。日本の労働市場においては従来、従業員数の多い大企業のほうが、賃金や福利厚生などの条件が良いことが知られています。
今回の調査回答者の中では、勤務先の従業員数が1000人以上5000人未満の割合が20%、5000人以上が24%、官公庁・公立学校等の公務員が14%となっており、これらを合わせると6割弱を占めます。
これを東大卒以外と比較するために、2022年の就業構造基本統計調査から、最終学歴が大学・修士・博士である者の勤務先従業員数の分布を見たところ、従業員数1000人以上が26%(5000人以上の区分は無し)、官公庁などが15%で、合わせて約4割となっています。
ここから、今回の東大卒調査の回答者の方が、民間の大企業に勤務している割合が一般の大卒以上全体と比べて2割ほど高いということになります。大企業に就職する上では、東大卒という学歴資本は有利に働くようです。