超大企業に勤める東大OBは
40代になるとどこへ行く?
調査回答者の中で、勤務先規模を性別、世代別、文理別、学位別に検討すると、まず男女別では男性の方が5000人以上の割合が女性よりも5%ほど高く、女性は官公庁等の割合が男性よりも3%ほど高いですが、顕著な違いはありません。
世代別では、30代以下では5000人以上の割合が約28%ですが、40代以上では約20%と、相対的に若い層で超大企業の割合がやや高くなっています。この理由としては、2つの仮説が考えられます。
1つは、東大卒は新卒時にこうした大企業に就職しやすいという効果が若年層では残っているのに対し、高年齢層では独立や転職により他企業に転出しているケースが一定程度あるということです。
もう1つは、40代・50代が新卒で就職した時期が1990年代半ばから今世紀初めまでの「就職氷河期世代」(企業、特に大企業が新卒者の採用を非常に抑制していた時期)と重なっていることによる影響が、東大卒にもやや及んでいるということです。
これらの仮説を厳密に検証することは困難ですが、むしろ若年層において超大企業に勤務する者がやや多いということは、東大卒という学歴資本の効果が趨勢的に衰えているわけではないことを示唆しています。
また、文系か理系かによる勤務先規模の相違はほとんどありませんが、学位による差はやや見られます。
学部卒と修士では5000人以上の企業の割合がそれぞれ25%と29%で、官公庁等はいずれも10%前後であるのに対し、博士では5000人以上の割合は15%と少なくなり、代わりに官公庁・公立学校等が25%と多くなります。
これは、すでに見たように博士学位取得者の中には研究者や大学教員である者が多くを占めているため、公的な研究機関や国公立大学に勤務しているケースがかなり含まれることを反映していると考えられます。