ここからうかがわれるのは、総じて専門職では国家資格や学位が仕事をする上で重要になりますが、それに加えて出身大学という学歴資本も、そうした資格や学位にいっそうの付加価値をつける形で「役に立つ」場合がかなりあると同時に、その付加価値の大きさは専門職の職種によっても幅があるということです。

会社で出世するにつれて
「東大卒」が役に立つ

 管理職についても、さらに細かく役職別にみると、「役職なし」や係長相当では肯定率は4割台に留まりますが、課長相当では7割弱、部長相当では約8割、社長相当では約9割と、職階の上位になるほど学歴資本の有効性に対する認識が高まります。

 この結果が、実際に組織内で学歴資本が威光を発揮して上位の役職に就いたということなのか、それとも上位の役職に就いた人が主観的に学歴資本が役立ったのだろうと考えているのか、それは今回の調査だけではわかりません。

 しかし、専門職と管理職の結果を合わせて考えると、総じて、何らかの「権威」を必要とするようなポジションを得るにあたって、実質的な知識やスキルに加味される形で学歴資本が有効性を発揮しているという理解が当てはまりそうです。

 学歴資本「だけ」で生きていけるような甘い世の中ではない。しかし、学歴資本が他の要素とからみ合いつつ威力を発揮する場合がある。

 そうした複雑な関係が実態なのであり、大学名という学歴資本によりその後の人生が「庇護」されるという「学歴エリート」への見方は単純すぎると言えるでしょう。