2022年のパ・リーグの平均打率は.2399、これは昭和30~40年代の水準だ。今後、TBAで見れば高打率の選手が出てくる可能性はある。

本塁打率で比較すると
村上より中村のほうが上

 TBAの考え方は、打率だけでなく本塁打でも使うことができる。打率を本塁打率(本塁打数÷打数)にして、本塁打数のTBAも出すことができる。計算式は、

 (選手の通算本塁打数×0.0247)÷実働期間のリーグ平均本塁打率

 となる。0.0247は、プロ野球始まって以来全シーズンの本塁打率の平均だ。

 これで通算本塁打数のランキングを出すと図3のようになる。

「王貞治でも村神様でもない」TBA補正した歴代ホームラン王ランキング、驚きの1位は?図3 同書より転載 拡大画像表示

 1位の王貞治は変わらないが、本塁打数は89本も減る。王が登場してからセ・リーグでは続々と長距離打者が登場して本塁打率が上がったのだ。

 2位も変わらず野村克也だが、本塁打は若干増える。パ・リーグの方が長距離打者が少なかったからだ。3位には王貞治、野村以前の通算本塁打記録を持っていた山内和弘。

 そして4位に、当代の中村剛也が入って来る。後述するが、中村は、本塁打がなかなか出ない「投高打低」の昨今にあって傑出した本塁打記録を持っている。5位の藤村富美男は倍以上も本塁打数が増えている。1936年、プロ野球草創期からプレーをしていた藤村は、戦前の「極貧打」の時代を経たために本塁打数が爆上がりしているのだ。

 以下にも昭和の強打者が並んでいる。15傑に平成以降にプレーした選手は中村剛也、門田、金本、清原の4人しかいない。TBAは昔の打者を持ち上げることになってしまうが、これも1つの指標と考えていただきたい。

TBA補正で見ると王を超えて
中村が断トツの記録保持者

 シーズン本塁打数は、長く1964年の巨人、王貞治が記録した55本塁打だった。これに2001年の近鉄、タフィ・ローズ、2002年に西武、アレックス・カブレラが並び、長く3選手の55本がトップだった。