コレステロールが多く含まれている食品を食べると、一定量までは「コレステロール値」は確かに上がります(図1参照)。しかしそれを超えると変わらなくなります。一定量まで増えた値を「天井値」といい、それに達するとその後はまったくといっていいほど増えません

【図1】1日のコレステロール摂取量と血中コレステロールの変化同書より転載 拡大画像表示

コレステロール値が低いと
がんになる確率が上がる!?

 そして、コレステロール値の出元は食品に含まれると思っているかもしれません。だから「コレステロール値の高い食品を食べ過ぎると値が上がってしまう」という恐怖に怯えるのでしょう。

 しかし実際は、コレステロールのおよそ8割が体内でつくられ、残りの2割だけが食物を摂取することでつくられます。ですから、コレステロールの多い食事をしても、少ない食事をしても、血中のコレステロール値はさほど大きな差が出ないのです

 つまり、肉や乳製品を食べるとコレステロール値が上がるから食べられないというのは、無駄な心配なのです。コレステロール値が上がるのは食事よりも、むしろ運動不足や喫煙、アルコールといったほかの要因が大きいということを知っていただきたいと思います。

 とかく嫌われがちなコレステロールですが、なぜこんなにも嫌われているのかというと、かつて「コレステロール害悪説」が広まったからです。

 1948年にアメリカで始まったフラミンガム研究によると、アメリカでは心筋梗塞で亡くなる人が最も多いことがわかりました。それを減らすためにさまざまな研究が行われたのですが、心筋梗塞にはコレステロールが深く関係しているという調査結果が導き出されました。