当時はアメリカの医学は最前線でしたから誰もが信じ、「コレステロールは悪いものだ」という考え方が浸透したのです。

 ところが1993年に発表された追跡調査によると、60歳まではコレステロール値が高いほど死亡率が高いのですが、60歳を過ぎると死亡率が下がり、さらにコレステロール値が下がると、がんのリスクが高まるという結果が出ました

 このことからもわかるように、先の調査の最新の研究結果を知らない知識のなさによって「コレステロール害悪説」が誕生。それを信じたまま、コレステロールを多く含む乳製品が嫌われてしまうという流れが出来上がりました。

牛乳で五大栄養素が
バランスよくとれる

 赤ちゃんの成長を支える栄養は母乳かミルクに委ねられています。その理由は、必要な栄養素がバランスよく含まれているから。それがたんぱく質、炭水化物(糖質)、脂質、ビタミン、ミネラルの主要五大栄養素です

 これらは赤ちゃんの健康な成長や健やかな発達になくてはならない栄養素なのです。このように、それだけで生きていける食品のことを「完全栄養食」といいます

 では牛乳は完全栄養食だと思いますか?正解は「限りなく完全栄養食に近い食材」といえると思います。というのも人間が生きていくのに必要な五大栄養素が含まれていますが、不足している栄養素もあるからです。五大栄養素とは次のうちの5つです。

(1)たんぱく質
 筋肉、皮膚、髪、爪などの体の組織の成長と修復に不可欠。また、抗体や免疫細胞の一部もたんぱく質が材料になっているため、免疫機能を高める役割もあります。ほかにも必要に応じてエネルギー源としても使われ、体のあらゆる場所で重要な役割を担っています。

(2)炭水化物
 主な役割はエネルギー源。また、牛乳に含まれる炭水化物(糖質)の一部は腸内で発酵して腸内細菌のエサとなって善玉菌を増殖。その結果、腸内環境を整えることにもひと役買ってくれます。

(3)脂質
 エネルギーの供給源になるほか、細胞やホルモン、免疫細胞などの材料となります。またビタミンの吸収を助けるという役割もあります。